今日から明日へ
作品を継承すること

2026年10月31日(土)〜2027年4月18日(日)

インフォメーション

期間:

2026年10月31日(土)〜2027年4月18日(日)
10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで、1月2日〜3日は17:00まで)

会場:

金沢21世紀美術館 展示室
1〜6、交流ゾーン

料金:

一般 1,200円(1,000円)
大学生 800円(600円)
小中高生 400円(300円)
65歳以上の方 1,000円
※( )内はWEB販売料金と団体料金(20名以上)
※当日窓口販売は閉場の30分前まで

休場日:

月曜日(ただし11月23日、1月11日、3月22日は開場)、11月24日、12月29日~1月1日、1月12日、3月23日

2027年5月からの長期休館を前に、金沢21世紀美術館の現在地を見つめ、作品を未来へ継承することの意味を問い直す展覧会です。タイトルの「今日」は、現代美術における「現代」、すなわち「いま」であると同時に、当館が2004年に開館して以来積み重ねてきた20余年を指します。「明日」は、休館とリニューアルを経た先、さらに次の20年以降へと続く時間を示します。

美術館は、作品を百年、千年先へ残す使命を担っています。しかし、素材の経年変化、機材の旧式化、展示環境や社会状況の変化など、作品の継承には多くの不確実性が伴います。そこで本展では、まず20年先まで作品をどのように残していくのかという、具体的で現実的な課題に向き合います。

本展では、保存・修復や展示、継承方法の検討を要するコレクション作品を中心に、工芸、ミクスト・メディア、メディア・アート、インスタレーション、上演を伴う作品などを紹介します。作品そのものだけでなく、調査、修復、機材更新、再演、記録といったプロセスも展覧会の一部として提示します。過去の状態を固定するのではなく、作品が作品であり続けるために、何を受け継ぎ、どのような変化を引き受けるのか。本展は、作品の継承を通して、これからの美術館の役割と姿勢を考えます。

関連プログラム

壊れていくもの、継承していくもの

エルメスジャポン株式会社と当館が2024年から続けてきた協働を発展させ、作品やものの修復と継承を考える二つのプログラムを開催します。能登への支援や、職人技術・手わざの継承を背景に、ワークショップとシンポジウムを通して、本展の問いを多角的に掘り下げます。

第1部 ワークショップ
日時:2026年11月13日(金) 17:30-19:00
会場:金沢美術工芸大学
対象:18歳以上の方(経験・所属等は問いません)
定員:24名(応募多数の場合は抽選)
応募フォーム:https://forms.gle/9ebza9Pu83P5BqrM6
応募締切:2026年10月20日(火) 13:00

第2部 シンポジウム
日時:2026年11月14日(土) 14:00-16:30
会場:金沢21世紀美術館 シアター21
対象:一般
定員:150名
料金:無料(予約不要)
※ワークショップの応募方法・締切、参加条件、シンポジウムの登壇者の詳細は、確定情報を当館ウェブサイトに掲載します。

主催:金沢21世紀美術館、エルメスジャポン株式会社 
協力:金沢美術工芸大学 金島隆弘研究室

出展作家(予定)

  • 展示室1:宮永愛子

    展示室2:ジェームズ・タレル

    展示室3、交流ゾーン:石毛健太、髙橋銑、細井美裕

    展示室4「継承の実験室」:
    粟津潔、大巻伸嗣、小沢剛、オトボン・ンカンガ、岸本清子、田島美加、田中敦子、田中信行、奈良美智、西山美なコ、蓮田修吾郎、ヤノベケンジ、YANTOR、ヤン・ファーブル、毛利悠子、Rhizomatiks
    ※上記は、会期全体を通した「継承の実験室」の出品予定作家です。

    展示室5:〈前期〉2026年10月31日(土)〜2027年1月31日(日):ヤノベケンジ
         〈後期〉2027年2月2日(火)〜2027年4月18日(日):塩田千春

    展示室6:《記憶の部屋について》
    塩田千春+岡田利規 / 上演参加者:羽鳥嘉郎、関川航平、倉田翠

    館内および屋外の恒久設置作品等:
    LAR/フェルナンド・ロメロ、アニッシュ・カプーア、オラファー・エリアソン、ジェームズ・タレル、パトリック・ブラン、ピピロッティ・リスト、フロリアン・クラール、マチュー・ブリアン、ヤン・ファーブル、レアンドロ・エルリッヒ、SANAA、マイケル・リン

展覧会の特徴と主な出品作品

  • 1. 当館コレクションから考える、現代美術作品を継承するということ

    金沢21世紀美術館が収集してきた4,000点を超える作品には、絵画や彫刻に加え、映像、音、観客の参加や上演によって成立する作品があります。素材の変化を止めることが、必ずしも作品を残すこととは限りません。例えば宮永愛子《waiting for awakening -chair-》は、素材のナフタリンが昇華し次第に形が失われていくことで、時の加算が現れることを予感させる作品です。こうしたコレクションを通して、作品のどこに本質を見いだし、何を次代へ受け渡すのかを考えます。

  • 宮永愛子《waiting for awakening -chair-》2012
    © MIYANAGA Aiko
    photo: NAKAGAWA Akifumi

    宮永愛子《waiting for awakening -chair-》

    変化を待つ作品を通して、作品の「時間」を未来へ継承することの意味を探ります。

  • 2. 金沢21世紀美術館を特徴づける恒久設置作品を見つめ直す

    当館の館内や屋外には、建築空間と結びついた恒久設置作品があります。開館以来いつでも気軽に体験できる作品群として人気を集めてきました。例えばレアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》では、水面の上と下にいる人々が互いの姿を見つめ、見慣れた風景や人との関係を捉え直します。本展では、こうした館の内外にある恒久展示作品も展示の一部として位置づけます。作品と建築、設置環境、日々の手入れとの関係をたどり、親しまれてきた体験を未来へつなぐ条件を考えます。

  • レアンドロ・エルリッヒ
    《スイミング・プール》2004
    © Leandro ERLICH
    photo: NAKAMICHI Atsushi / Nacása & Partners

    レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》

    当館の建築空間のために制作された作品です。水面を隔てた視線の交わりが、人々の出会いやコミュニケーションを生み出します。

  • パトリック・ブラン《緑の橋》2004
    © Patrick BLANC
    photo: NAKAMICHI Atsushi / Nacása & Partners

    パトリック・ブラン《緑の橋》

    限定的な環境のもとでも植物は順応していくという、植物学者ブランの理論を、作品そのものが示しています。当館の建築空間のために制作されました。

  • 3. 光や動き、空間の体験―大型インスタレーションや多様なメディアからなる作品を展示

    金沢21世紀美術館のコレクションは、多岐にわたる現代美術の表現の中でも、多様なメディアからなる作品や大型の作品、インスタレーション、双方向的な体験型の作品が充実しているのが大きな特徴です。中でも光や動き、空間全体を用いる作品では、装置や素材に加え、鑑賞者が出会う体験も継承の課題となります。本展では、16年ぶりの展示となるジェームズ・タレル《ガスワークス》を紹介。展示室5では、ヤノベケンジ《ビバ・リバ・プロジェクト―スタンダ―》(前期展示)から塩田千春《記憶の雨》(後期展示)と作品を入れ替え、前者では起動確認、後者では再展示に向けた検証を行いながら、作品固有の体験を未来へつなぐ条件を探ります。

  • ジェームズ・タレル《ガスワークス》1993
    © James TURRELL
    photo: SAIKI Taku

    ジェームズ・タレル《ガスワークス》

    横たわった鑑賞者が球体の内部へ入り、移り変わる光と色に包まれる作品です。本展はネオンによる光を体験できる貴重な機会となります。ボランティアが作品運営を担い、体験を支える人々とともに作品を未来へつなぎます。

    〈体験方法〉
    料金:無料(ただし「今日から明日へ 作品を継承すること」の当日観覧券が必要)当日受付・先着順で、定員に達し次第終了。
    受付場所: 展示室2 《ガスワークス》作品前
    午前の部: 11:00~13:00(受付:10:00~) 最大定員:8名
    午後の部: 14:00~16:00(受付:13:00~) 最大定員:8名
    体験は1名約10分、15分ごとの時間指定制。

  • ヤノベケンジ
    《ビバ・リバ・プロジェクト―スタンダ―》2001
    © YANOBE Kenji photo: KIOKU Keizo

    ヤノベケンジ《ビバ・リバ・プロジェクト―スタンダ―》前期(2026年10月31日〜2027年1月31日)

    内蔵したセンサーによる放射線の検知を契機に、高さ約3メートルの子ども型の人形が立ち上がる作品です。2024年の展示中に機器の不具合で稼働を中止しました。オーバーホール(分解点検・整備)後、初の展示となる本展では、作品固有の動作をどのように受け継ぐかを考えます。

  • 塩田千春《記憶の雨》2020
    © SHIOTA Chiharu
    photo: KIOKU Keizo

    塩田千春《記憶の雨》後期(2027年2月2日〜4月18日)

    本作品は、2020年に作家が展示室5の空間に合わせてその場で制作したインスタレーションであり、収蔵後初めての展示となります。作家の指示に基づく現在の保管方法や展示方法が適切であるかを検証し、作品を再び展示空間に設置する実践を通して、インスタレーションを継承する方法を考えます。

  • 4. バックヤードを思わせる「継承の実験室」で、調査や対話のプロセスを紹介

    展示室4「継承の実験室」は、美術館のバックヤードや収蔵庫の前室を思わせる空間です。作品だけでなく、資料や保存箱とともに、検品、調査、記録の過程など普段公開することのない作品の保存、修復に関わる資料も紹介します。保存修復を専門とする田口かおり(京都大学人間・環境学研究科)、作品の再現や再展示を研究する平諭一郎(東京藝術大学未来創造継承センター)との協働により、作家やさまざまな専門家の知識と経験を持ち寄ります。会期を3期に分けて作品を入れ替えながら、継承に向けた判断の積み重ねを来場者と共有します。

    第1期 2026年10月31日(土)〜12月20日(日)
    田中信行、田島美加、西山美なコ、YANTOR、小沢剛、岸本清子、粟津潔
    第2期 2026年12月22日(火)〜2027年2月21日(日)
    大巻伸嗣、蓮田修吾郎、奈良美智、Rhizomatiks、ヤン・ファーブル、粟津潔
    第3期 2027年2月23日(火・祝)〜4月23日(金)
    オトボン・ンカンガ、ヤノベケンジ、田中敦子、Rhizomatiks、エルネスト・ネト、
    毛利悠子、粟津潔
    ※出品作品は変更になる場合があります。作品の一部のみを展示する場合があります。

  • 西山美なコ《Sugar Crown》2004
    © NISHIYAMA Minako photo: SUEMASA Mareo

  • 5. インスタレーションと演劇プログラムが一体化した作品も

    塩田千春+岡田利規《記憶の部屋について》は、塩田千春によるインスタレーション《記憶の部屋》と、演劇作家・小説家の岡田利規による演劇プログラムが一体化した作品です。インスタレーションとテキストが互いを補完し、舞台美術と演劇の関係とは違う空間に観客が立ち会います。本展では、岡田と彼の主宰するチェルフィッチュの手を離れ、3組の演出家、アーティスト、俳優らが、2009年以来となる上演をそれぞれの方法で試みます。異なる身体や解釈を通して、何が受け継がれ、何が変わるのかを探ります。

    [上演日程(予定)]
    2026年11月19日(木)〜12月1日(火)
    各日13:00〜17:00 
    12月1日(火)は16:00まで。16:30-17:30 ポストパフォーマンストーク
    演出:羽鳥嘉郎
    出演:石田みや、横田僚平

    2027年1月19日(火)〜1月31日(日)
    火〜木・日曜:10:00〜18:00、金・土曜:10:00〜20:00。
    1月31日(日)は16:00まで。16:30〜17:30 ポストパフォーマンストーク
    翻案・出演:関川航平

    2027年3月26日(金)〜4月4日(日)
    火〜木・日曜10:00〜18:00、金・土曜10:00〜20:00。
    4月4日(日)は15:30まで。16:00-17:00 ポストパフォーマンストーク
    演出:倉田翠
    出演:西田悠哉、花形槙、前田斜め、倉田翠
    演出助手:平澤直幸

    ※上演日時は変更になる場合があります。休場日の上演はありません。詳細のスケジュールは確定後に当館ウェブサイトでご案内します。

  • 塩田千春+岡田利規《記憶の部屋について》2009
    © SHIOTA Chiharu © OKADA Toshiki
    photo: IKEDA Hiraku

  • 6. 3人のゲストアーティストが問う、作品を残すこと、継承すること

    ゲストアーティストとして石毛健太、髙橋銑、細井美裕の3人を迎え、ものを残すことに加え、行為や経験を受け渡すことにも目を向け、新作を発表します。美術館を支える仕事、家族から受け継ぐ技術や記憶、今日から明日へ届く声。それぞれの実践が、保存や継承を日々の営みへとひらきます。新たな作品の制作を通して、何を受け継ぎ、何を受け継がないのかを考えます。

  • 石毛健太《Fever Dream “Arbeit”》2026
    Photo: Dai miyata

    石毛健太

    美術館を支える看視員に焦点を当て、「美術館を一人一人に固有な形で記憶する」業務を追加。休館を前に、美術館の空間と制度、そこに関わる人々の存在を記録します。

    プロフィール
    1994年神奈川県生まれ。現在神奈川県を拠点に活動している。東京藝術大学大学院修士課程を2018年に修了。アーティスト、エキシビションメーカー、他。物流、住宅、都市、雑草、アルバイト、記憶、時間などをテーマに作品を制作。
    近年の主な展覧会に、個展「Fever dream」(FOC、石川、2026)、「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」 (東京都現代美術館、東京、2024)、「ジャンクス・ポーツ」(ANOMALY、東京、2023)。

  • 髙橋銑 新作完成イメージ

    髙橋銑

    彫刻の保存修復を行う家族の記憶を起点に、仕事や制作、手入れの経験をテキストと作品で表現。親から子へ受け継がれるものと、受け継がれないものを見つめます。

    プロフィール
    1992年東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程を2021年に修了。彫刻の保存修復に携わりながら、自身もアーティストとして作品制作を行う。保存修復の現場で培われた物質や技術への知識、作品を取り巻く人々との関わりを起点に、彫刻、映像、インスタレーションなど多岐にわたる作品を制作している。
    近年の主な展覧会に「Reverse Cabinet」(Coex hall、ソウル、2025)、「リニューアルオープン記念特別展 Before / After」(広島市現代美術館、広島、2023)、個展「聞かれなかった声」(LEESAYA、東京、2023)。

  • 細井美裕《世界交換手》2025
    Photo: Nakatani Toshiaki
    Courtesy of ROHM Theatre Kyoto

    細井美裕

    鑑賞者が声を録音し、彼・彼女らの今日が、翌日に再生されるサウンド・インスタレーションを制作。声と記憶、展覧会での経験を受け渡す場を生み出します。

    プロフィール
    1993年愛知県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。サウンドインスタレーションや実験的なシアターピースを中心に、音が持つ情報伝達の可能性と不可能性を探る。近年は、場所・もの・ひとの記憶と記録について、国内外でリサーチベースのプロジェクトに取り組む。
    近年の主な展覧会に、「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」(森美術館、東京、2025–2026)、「Feel the Sound」(Barbican Centre、ロンドン、2025)、「ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ」(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、東京、2024)。

  • 7. 休館前の最後の展覧会で金沢21世紀美術館の「今日」と「明日」を考える

    金沢21世紀美術館は、設備更新と修繕工事のため、2027年5月から2028年3月まで長期休館します。本展は休館前最後の特別展です。建築と結びつく作品、繰り返される上演、日々の手入れや人々の記憶を通して、美術館が何を未来へ残すのかを考えます。見慣れた作品との再会を通して、美術館の役割を改めて検証し美術館の現在地を見つめ直すとともに、これからの美術館をともに考える機会となります。

  • マイケル・リン《市民ギャラリー 2004.10.09-2005.03.21》2004
    © Michael LIN
    photo: NAKAMICHI Atsushi / Nacása & Partners

クレジット

主催:

金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]

助成:

独立行政法人芸術文化振興会、文化庁

協賛:

エルメスジャポン株式会社

後援:

北國新聞社