ローリー・シモンズはおもちゃ、腹話術の人形、オブジェを用いて、空想的な世界を構築する写真作品を制作してきた。テーマは変化しても、その作品において、彼女は空間と色彩、そして光に対する高度な感覚により創造的な環境を創出している。写真はシリーズとして構成され、1シリーズの完結の後、次のシリーズが始まるという物語的なスタイルをとる。出品作の《最高傑作II (バイバイ) 》はシモンズの"歩く物" (ウォーキング・オブジェクト) シリーズのフィナーレを飾る作品である。人形の体から切り取られた足のついたハンドバッグ、拳銃、地球儀などによって形成される舞台装置は、自身の子供時代へのノスタルジアに由来する。彼女の作品世界は、1970年代ニューヨークにおいてはフェミニストの文脈で解釈されてきたが、現代社会の混沌とした模様を日常のレベルから映し出す革新的な作家として再評価できる。

(1949年ファーロッカウェイ生まれ、ニューヨーク在住)


《ペインティッド・バレエ (レ・シルフィード)》

1983
ダイ・ディストラクション・プリント
エディション1/5
73.66 x 100.33 cm
オルブライト=ノックス美術館蔵
Albert H. Tracy Fund, 1983
©Laurie Simmons
Courtesy: Sperone Westwater, New York


《最高傑作 II (バイバイ)》

1991
ゼラチン・シルバー・プリント
エディション1/5
137,16 x 241,3 cm
オルブライト=ノックス美術館蔵
By exchange, Castellani Family
Fund and General Purchase
Funds, 2006
©Laurie Simmons
Courtesy: Sperone Westwater, New York