日比野克彦にとって様々な人や地域(アウェー)との出会いは、自己(ホーム)を見つめるきっかけであった。1990年代より、地域の特性を生かしたワークショップに取り組んできた日比野の活動は、2003年、新莇平で始まった「明後日朝顔プロジェクト」を機に新展開を迎えた。毎年種を残す「朝顔」は、活動の継続性をもたらし、文字通り地域に根ざし始めたのである。
2007年、ここ金沢で、日比野の活動は「ホーム→アンド←アウェー」方式という形に結実する。
美術館は港となり、モノをつくる造船所(DOCKYARD)、人や情報が行き交う桟橋(PIER)、道標としての灯台(LIGHTHOUSE)をキーワードとした3つの場を舞台に、子どもも大人も、日比野とともにアートの新たな実験へと船出する。
   「どこだっていい。東西南北どこだっていい、上だって下だってかまわない。
    今の自分の居る場所を、遠くから眺めることができれば、地の中だってかまわない。」

—日比野克彦『海の向こうに何がある』1997年