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| 空想する事は人間だけに与えられた特権です。 古代より人間はこの世に存在しない様々な生き物の姿を空想の中から紡ぎ出してきました。人智を越えた存在として、あるいは人を戒める神の代行者として、ドラゴンは火を吐いて空を舞い、麒麟は千年の時を生きて地を走り、舟幽霊は柄杓で海水を汲み漁船を沈めてきたのです。 近代になり鉄とガラスの大都会が出現した20世紀になると、空想の怪物達は「怪獣」という新たなカテゴリーを得て爆発的にその眷属を増やしました。 どれほど怪獣馬鹿、もとい、怪獣博士を自認する人であっても、現在までにテレビやスクリーンに登場したすべての怪獣の名前を諳んじられる人は、おそらくいないでしょう。なぜ人はこれほど多くの怪獣を想像し、キャラクターとして造形してきたのでしょうか? そう、怪獣はただ大きくて変わった形をしてビルを壊す迷惑なだけの生物では無いのです。空想によって産み出された怪獣は、見る人を刺激して更に新たな空想を産み出させるのです。 何でこんなにでかいのだ。こいつはどこから来てどこに行くのだ。こいつが街の中を歩く様はどんなだろう。夜の石油コンビナートにはこいつが絶対お似合いだ。ビルの影からこいつが姿を現したらどんなにか恐ろしいだろう。等々。 それはまったく持って何の役にもたたない空想ですが、空想が人間の特権であるならば、役に立たない空想こそもっとも人間的な空想と言えるのではないでしょうか。私も怪獣イラストレーターとして数多くの作品を描いてきましたが、私の絵を見ても腹がふくれるわけでも寒さがしのげるわけでもなく、これもまた何の役にもたたない空想の産物です。でも何故か私の怪獣画は全てクライアントが作成を依頼してきた商業美術作品であり、プラモデルやビデオソフトのパッケージとして、壁を飾るポスターとして世間のお役に立ち、対価を産んで私の生活を支えてくれているのです。 空想も役に立つ! どうか世にも珍しい役に立つ私の空想を見てやってください。そして、ほんの少しでも空想する楽しさに触れていただけましたなら、私はとても嬉しくなるのです。 |
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| 21st Century Museum Of Comtemporary Art, Kanazawa |