アール issue 10 / 2023

特集 美術館とサスティナビリティ
本号の特集は、「美術館とサスティナビリティ」です。 昨年ICOM(国際博物館会議)のプラハ大会にて、ミュージアムの定義がおよそ半世紀ぶりに大きく改正され、博物館の役割として「持続可能性」が明記されました。しかしながら、国外では、文化機関による持続可能性に向けた具体的な実践についてのリサーチが散見されるのに比べ、国内では「サスティナビリティ」が議論の俎上に載せられることはまだまだ少ないと考えられます。本特集では、まだまだ見通しの不明瞭なこの領域において、未来を予測しようと試みるよりも、現在の地点からサスティナビリティの国内外の事例を考察することを主眼においています。美術館において持続可能性とはどのように解釈・実践できるか、様々な可能性を検証し、外部寄稿者も含め、美術館の外側からの視点を取り入れつつ、本領域のさらなる研究が促進される契機となることを目指しています。

フォーラム
フォーラムでは、当館学芸員の研究論文を3本ご紹介します。1本目は数々の災害において文化財レスキュー活動の現場に立ち会ってきた著者による、ミュージアム被災と文化財レスキューついての報告論文を、2本目は、2003年に当館に収蔵されたマイケル・ロウの金工作品《蓋付容器「オーナメントの条件 No.28」》 について、作家自身による作品コンセプトの新規訳出を加え、解題・考察します。3本目は当館所蔵の写真作家の陳維(チェン・ウェイ)の作品を手綱にし、彼の2000年代後半から現在までの表現とその転向を分析し、論じています。