トーマス・ルフ展

2016年12月10日(土) - 2017年3月12日(日)

トーマス・ルフ(1958年ドイツ、ツェル・アム・ハルマースバッハ生まれ)は、アンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートらとともにデュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」として、1990年代以降、現代の写真表現をリードしてきた存在です。
本展では、世界が注目する写真家の、初期から初公開の最新作までを紹介します。ルフは初期に発表した高さ約2メートルにもなる巨大なポートレート作品で注目されました。それ以降、建築、都市風景、ヌード、天体などさまざまなテーマの作品を展開、それらを通じ、現代人をとりまく世界のあり方についてのユニークなヴィジョンを提示してきました。
私たちの視覚や認識に深く組みこまれた写真というメディアそれ自体も、ルフ作品の重要なテーマのひとつです。ルフは自ら撮影したイメージだけでなく、インターネット上を流通するデジタル画像からコレクションしている古写真まで、あらゆる写真イメージを素材に用い、新たな写真表現の可能性を探究しています。
作品選択や展示構成にルフ自身が参加するなど、作家の全面的な協力を得て実現する今回の展覧会では、未発表の新作を含む作品世界の全貌を紹介します。

工芸とデザインの境目

2016年10月8日(土) - 2017年3月20日(月)

「工芸」か「デザイン」かー。
工芸とデザインはものづくりという点では同じであるが、両者は異なるジャンルとして区別される。しかしながら、それらをつぶさに観察するまでもなく、両者の間には「デザイン的工芸」また「工芸的デザイン」とも呼べる作品あるいは製品があるように思われる。
本展覧会では、「プロセスと素材」「手と機械」「かたち」「さび(経年変化)」といった観点から工芸とデザインを見つめ直すことによって、それらの曖昧模糊とした境目を浮き彫りにする。それと同時に、最先端技術の発達などによって多様化が進む両者の新たな地平を考察する。

カタチのたたずまい

2016年10月8日(土) - 2017年3月20日(月)

展覧会「工芸とデザインの境目」の開催に合わせて、技術や素材に重きをおきながら金沢およびその近郊で制作活動をおこなう若手工芸作家4名に焦点をあてた展覧会を開催いたします。「用の美」(あるいは「用と美」)を追求することから生まれ、いわゆる工芸でありながらデザイン的な傾向を示す、洗練された形態(カタチ)を特徴とする作品を展示いたします。
これからの石川の工芸を担う若き作家たちの作品をとおして、工芸における新たな可能性を探ります。

アペルト05

樫木知子 ~Daydream~

2016年9月17日(土) - 2017年1月9日(月)

京都をおもな活動の舞台とする画家、樫木知子(1982年、京都生まれ)。樫木は繊細かつ流麗な描線と透明感のある穏やかな色彩によって、白昼夢のような幻想的な世界を画面に紡ぎ出します。人物をはじめ、多様なモティーフを多層的に描き重ねる樫木独自の描法は、臨場感のある不可思議な絵画空間を現出させ、その異次元世界に観る者を誘い込みます。
本展では京都市立芸術大学大学院在籍中に制作した《タイルの部屋》(2010年)や、本展のために新たに制作した3点の作品など、全7点を展覧します。

《うでピアノ》2015(部分)

コレクション展2

ダイアリー / 粟津潔と建築

2016年9月10日(土) - 2016年11月27日(日)

ダイアリー
ダイアリーとはラテン語の「一日」を指す「diēs」を語源とした、個人的な日記や日誌を意味することばです。書かれた、あるいは描かれたダイアリーには日々の記録が時間の積層として現れ、そこからは記憶、身体、痕跡、日常、反復といった要素を読み取ることができます。さらに個人が自らのために記したダイアリーは、パブリックに開かれることで「歴史」の一部ともなり得ます。
本展はこうした多様な拡がりを持つ「ダイアリー」というキーワードを手がかりとして、8名のアーティストによる作品を紹介します。過去の行為や出来事の記憶がかたちを伴って作品として現れるとき、私たちはそこにどのような「ダイアリー」を発見できるのでしょうか。

粟津潔、マクリヒロゲル 3 粟津潔と建築
金沢21世紀美術館は、約3000件の粟津潔の作品・資料をコレクションしています。「粟津潔、マクリヒロゲル」は、2014年より開催している小特集展示のシリーズで、粟津のコレクションを毎回異なる切り口で紹介しています。
3回目にあたる本展は、「建築」がテーマです。粟津は、1960年代の前衛的な建築運動「メタボリズム」に参加したことを契機に、多くの建築家と協働しながら空間的、環境的デザインを展開し、さらに、印刷メディアを通じて建築運動にも寄与しました。大衆に開くことを目指したモダニズムのデザインに、日本の伝統を再解釈して繋げた点に、粟津の独自性があります。本展では3つのセクション「メタボリズムと万博」「建築家との協働」「建築雑誌のデザイン」に分け、粟津のデザインが同時代の建築運動と共鳴し、それを豊かに増幅させた軌跡を紹介します。

公演「わかったさんのクッキー」関連プログラム

ちがったさんのラッキー

2016年8月11日(木) - 2016年9月4日(日)

展覧会「ちがったさんのラッキー」では、金氏徹平さん(アーティスト)が集めた素材の中から選んだ物を身につけながら、いつもとちょっとちがう自分になることができます。
岡田利規さん( 演劇作家・小説家・チェルフィッチュ主宰)は「いろんな物をいつもとちがう使い方をして撮った写真」を見て、お話をつくり、展示します。写真の登場人物は「ちがったーズ」という本展のコミュニケーターです。素材選びや組み合わせ、そしてできあがった姿かたちにまつわるお話づくりなどを会場で皆さんとご一緒します。
物や人とふれあいながら、いつもとちがった発見ができたあなたは、とってもラッキー!?

コレクション展1

Nous ぬう

2016年5月21日(土) - 2016年9月25日(日)

「Nous」とはフランス語で「わたしたち」を意味する言葉です。「わたしたち」は女性たちであり、また男性たちでもあります。ものを作り出すこと、思いを形にすることに女性と男性の区別はありません。ただ、その手法としての「手芸」を取り上げてみれば、この言葉はおもに女性の創作活動として認知されてきたという歴史があり、暮らしのなかで何かを表現したいと感じた女性たちの多くは、絵筆よりも身近にある、針と糸を思わず手にしてきました。
ひたすらに針をすすめる時間の恍惚感、家族のために縫うことの幸福感と疎外感、自分のために縫うかけがえのない時間、縫うことには多くの思いが込められています。また、縫うことによって生まれる衣服は、着る人そのものを伝えるものでもあります。日常の延長で生み出される作品に、名付けようのない些末で複雑な感情が表現されています。鑑賞者である「わたしたち」のこれまで意識しなかった感情も、これらの作品を通すことによって浮かび上がってくるのではないでしょうか。5名のコレクション作家と、4名のゲスト作家をあわせ、9名の女性作家の作品を展示し、手芸とアート、そしてジェンダーについて考えていきます。

no new folk studio「Orphe」

2016年5月21日(土) - 2016年9月25日(日)

 履き手が動くと楽器のように音を奏で、さまざまな光と色を放つ新感覚シューズOrphe(オルフェ)。ユーザーの動きに反応して奏でられる音と光の軌跡は、身体の動作によって生み出されます。no new folk studioは菊川裕也が2014年に立ち上げたスタートアップ事業です。音楽を生業にしたいと楽器を作りはじめ、音楽系ハッカソンで靴の形をした楽器Orpheのプロトタイプを開発しました。その後もエンジニアやデザイナーらとの恊働によりその精度を高め、いよいよ本格的な販売が始まります。靴や楽器といった固有の何かではなく、あらゆる境界やジャンルを乗り越えるOrpheは、ユーザーの使い方次第で無限の可能性を秘めています。
 本展では、Orpheを履いたダンサーが真夜中の美術館を縦横無尽に駆け巡る映像作品《Motion-Score》をご紹介します。ダンサーの動き(Motion)が音と光に変換され奏でられることから、動きがまるで楽譜(Score)のようです。3面スクリーンでは3つのテーマに基づき映像が展開されます。美術館内を自由に歩き廻る「回遊」、Orpheをまるで楽器のように操る「協奏」、そしてOrpheの音と光が建物と呼応し合う「反響」。次世代クリエイター集団が作り出す音楽インターフェースOrpheをご堪能ください。

アペルト04

Nerhol Promenade / プロムナード

2016年5月21日(土) - 2016年8月28日(日)

紙、印刷物の彫刻作品に取り組んできた彫刻家 飯田竜太、グラフィックデザイナーとして平面/視覚情報と向き合ってきた田中義久、その二人の邂逅から生まれたアーティスト・デュオがNerholです。物質とイメージといった別の角度から、互いに「紙」という日々大量に消費される流通物と向き合ってきた二人の協業は、大量の像を刻んだ紙の彫刻作品を生み出し、独特の立体感を持つヴィヴィッドな姿とともに見るものに鮮烈な印象を与えてきました。
Nerholは本展覧会にて、街路樹を少しずつ輪切りにししながら撮影された一枚一枚の写真を、大きく引き伸ばして束にし、刻み込んで制作された新シリーズ「multiple – roadside tree」や鏡面紙を用いた新作を発表します。美術館全体を遊歩の場としてとらえ「プロムナード」と名付けられた本展では、見る角度や距離によって多様な表情を見せる新作を通して、回遊することから現れてくる作品との関係について問いかけていきます。

山峰潤也(金沢21世紀美術館 アシスタント・キュレーター)

《multiple – roadside tree no. 03》 2016
Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery

SUPERFLEX One Year Project ― THE LIQUID STATE / 液相

2016年4月29日(金) - 2017年3月12日(日)

SUPERFLEXは、コペンハーゲン(デンマーク)を拠点に活動するヤコブ・フィンガー、ラスムス・ニールセン、ビョルンスティエルネ・クリスチャンセンの3人によるアーティスト・ユニットです。現代社会における既存の制度や枠組みに言及しつつ、コミュニティに対して働きかけ、新しい公共空間の創出を提案しています。
今回は、金沢21世紀美術館の建物を微生物を培養する「シャーレ」に見立て、コミュニティとの関係を「培養」「発酵」「醸成」の3つのキーワードで読み解く、約1年間にわたるプロジェクトに取り組みます。

西京人—西京は西京ではない、ゆえに西京は西京である。

2016年4月29日(金) - 2016年8月28日(日)

2007年に小沢剛(1965年生まれ、埼玉県在住)、チェン・シャオション(1962年生まれ、北京在住)、ギムホンソック(1964年生まれ、ソウル在住)の3人のアーティストが、西京から来た人を意味する「西京人」という名でコラボレーションチームを結成。北京でも東京でもソウルでもないアジアのどこかの国、「芸術を愛する人々が住む国」について物語るというプロジェクトをスタートさせました。西京は、現実からかけ離れた創造上の出来事というだけでなく、我々が生きる現代という時代を照射した語として読むことが出来ます。今回はこれまでの作品の中から、《第3章:ようこそ西京に—西京オリンピック / 西京冬季オリンピック》 《第4章:アイラブ西京—西京国大統領の日常》 《第4 章:アイラブ西京—西京国の学校》と、最新作となる《第5章:西京は西京ではない》などを発表します。また、同世代で同時代を生きる3人が、独立したひとりのアーティストとして発表してきた近作の中から、歴史への対峙や哲学的考察を含むインスタレーション、映像、絵画、パフォーマンスなどの作品も紹介します。

アペルト03

坂野充学 可視化する呼吸

2016年1月30日(土) - 2016年5月8日(日)

本展では、坂野充学が2012年に制作した5面のスクリーンによる映像インスタレーション《Visible Breath》を展示する。坂野は、1977年石川県鶴来町(現白山市)に生まれ、同地で育ち、現在は東京と石川を拠点に活動する映像作家である。坂野は東ロンドン大学で美術と映像制作を学び、帰国後、映像による作品を制作してきたが、近年、地元鶴来の祭りなどの伝統に関心を持つようになった。その調査を受けて生まれたのが本作品である。「鶴来」が「剣」と同音であり、鉄の生産を通じて古代から出雲や大陸との交流があったことをモチーフに制作された。鶴来の伝説に坂野の解釈をちりばめたフィクショナルな内容で、文化の交流をめぐって、見る人の様々な想像力を喚起する。

鷲田めるろ(金沢21世紀美術館 キュレーター)

生誕百年記念

井上有一

2016年1月2日(土) - 2016年3月21日(月)

戦後の日本現代美術を代表する井上有一(1916〜1985年)の生誕百年を記念する大回顧展です。有一は、戦後まもなく世界的に高い評価を得た数少ない日本の現代の書家です。
有一は、紙と墨からなる「書」を現代芸術の文脈の中で、個人の表現物として開花させました。本展では、初期から晩年までの200点を越える代表作によって井上有一芸術の核心に迫ります。
出品作品は、1955年、抽象表現主義と呼応した抽象書「作品」シリーズ、1957年、サンパウロ・ビエンナーレ国際展に出品した初期の代表作《愚徹》、ボンドや凍らせた墨など、素材と描法に工夫を凝らした《好》《母》《風》などの60年代、思想と生き様の一致した《貧》などの70年代、また70年代末から80年代へと晩年に向かい豊かな世界を形成した 《鳥》 《月》 《刎》 《鷹》 などが並びます。
一字書だけでなく、他の代表的なスタイルの作品も展覧されます。戦争の悲惨さを自らの体験によって作品化した《東京大空襲》 《噫横川國民學校》などの多文字書、語りながら書いた 「言葉書」シリーズの《草野心平詩 蛙誕生祭》 《宮沢賢治童話 よだかの星》などのコンテや鉛筆、木炭による書、死に向き合って制作された《宮沢賢治童話 なめとこ山の熊》、臨書《顔氏家廟碑》 《上》、また絶筆ともいえる《心》。有一が生涯こだわった型破りで自由な書の世界を、生涯にわたって制作した作品群の紹介を通じ、回顧展形式で紹介します。

本展キュレーター 金沢21世紀美術館館長 秋元雄史

《心》 1985
ボンド墨・和紙、143×182 cm
個人蔵
© UNAC TOKYO

コレクション展2 歴史、再生、そして未来

2015年11月28日(土) - 2016年5月8日(日)

本年度のコレクション展Ⅰは、私たちにとっての「いま」を問いかける機会としました。それに続くコレクション展Ⅱは、近年新たに収集された作品の紹介とともに、既存のコレクションを再解釈することによって私たちの「未来」を考察する展覧会です。様々な国において、また国内の諸地域においても社会的な価値観が短期間で変化してゆく21世紀のなかで、現代美術はどのような可能性を持つのでしょうか。「歴史」や「再生」というテーマのもと、これからの私たちがたどる道程を皆さんと共に想像する機会となれば幸いです。
また昨年に続き、「粟津潔、マクリヒロゲル2」も同時開催します。今年度のタイトルは「グラフィックからヴィジュアルヘ:粟津潔の視覚伝達論」。1955年の第5回日本宣伝美術(日宣美)展にて《海を返せ》で日宣美受賞以降の日宣美展の出品作品ほか、1960年代の粟津潔のグラフィック及び表現を紹介します。

廣村正彰「金沢でJunglin'」おぼろげ

2015年11月21日(土) - 2016年5月8日(日)

デザインという言葉に含まれる「美」と「思考」が様々な問題解決の糸口を与えてくれます。それはデザインのすべきことをさらに拡張していき、デザイン自体のフィールドを大きく広げているのです。周辺から本質を見ると未来が見えてくる−デザイナー廣村正彰がデザインワークの思考プロセスで金沢の風景を読み解き、金沢21世紀美術館デザインギャラリー空間で新作を展開します。

2010年より始まった、デザイナー廣村正彰による映像インスタレーションのプロジェクト「Junglin’ジュングリン」。本展では新作「おぼろげ」を展示します。「知っている」と思っていた風景は、視点の少しの変化で簡単におぼろげなイメージになってしまいます。しかし、そのおぼろげな風景は、絵葉書の写真のような記号的なイメージからは遠く離れ、その場所の原始的な姿を見せてくれます。私たちが普段どのように風景を見ているのか、また見落としているのか、本作品を通して体験してください。

廣村正彰「金沢でJunglin’」おぼろげ

ザ・コンテンポラリー3

Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊

2015年9月19日(土) - 2016年3月21日(月)

情報に生命は宿るかーバイオテクノロジーとアートの融合

新しい技術が普及した近未来の問題を題材にした作品で国際的な議論を巻き起こしてきたアーティストユニットBCLが、現在の日本のポップカルチャーの代表格としてインターネット上で世界的な人気を誇る歌声合成ソフト「初音ミク」に遺伝子と細胞を与え、生命/非生命の境界、そして二次創作や芸能/芸術のはざまで育まれる現代日本の特異な想像力の可能性を探究します。

BCL + Semitransparent Design 《Ghost in the Cell》 2015
© Crypton Future Media, INC.

アペルト02

樫尾聡美 生命の内側にひそむもの

2015年9月19日(土) - 2016年1月17日(日)

本展「樫尾聡美 生命の内側にひそむもの」は、今まさに興りつつある新しい動向に目を向けて、新進気鋭の若手作家を個展形式で紹介するシリーズ「アペルト」の第2回目です。
樫尾聡美は、加賀友禅をはじめとする染色の伝統をふまえながら、刷毛による色挿しやシルクスクリーン等の技法による、繊細で精密な表現をおこなっています。飛行機や電車など日常的なモチーフを取り入れた、幾何学的な装飾を特徴とする作品のイメージは、生命の細胞をも連想させ、布を多層に重ね合わせた立体的なフォルムは、有機的で生命力溢れる姿で現れています。
本展では、樫尾が2014年より展開している展示空間に合わせた天井吊りの作品を紹介します。

内呂博之(金沢21世紀美術館 コンサベーター/キュレーター)

《あたふる》 2014(部分)