コレクション展 「shiftー揺らぎの場」

2009年9月12日(土) - 2010年4月11日(日)

ふとした瞬間、何かをきっかけに、見慣れているはずの風景が違った世界に見え、全く別の意味を帯び始める。このような視点や感覚の転換、移動、変異は誰でも大なり小なり経験したことがあるだろう。膨大な情報や物質が氾濫する現代の社会において、麻痺しつつある身体や感覚、既成概念の輪郭のみをなぞって通り過ぎるだけの思考。ここでもう一度立ち止まり、自身の感覚や思考を開放し、今、目の前にある世界や通り過ぎてきた過去、自らの身体感覚のゆらぎや変化、新たな認識や知覚に身を任せてみたらどうだろう。本展で紹介する作品は、そういった視点の移動、感覚の変化、価値観の転換を我々に促し、働きかける。ガラスに囲まれた空間の内と外が緩やかに連続する中、日常と非日常が多層的に混在し関係しあう当館の建築的特徴を意識しつつ、5周年を迎える本年のコレクション展では、「shiftー揺らぎの場」をキーワードに、「私」を含む様々な物事を繋ぎとめる境界の揺らぎを探る。

きりのなか - ブルーノ・ムナーリの絵本世界

2009年9月12日(土) - 2009年11月3日(火)

霧のように無彩色の空間で、わたしたちは夢想の世界へと誘われる。濃霧をぬけて目前にあらわれる色彩が、わたしたちの記憶を呼び覚ます。暖かい色、冷たい色、重い色、軽い色、色は目に映るだけではなく、個人の心の働きに影を落としていく。

ブルーノ・ムナーリは自分自身を語るのに「発明家」、「著述家」、「建築家」、「プロダクトデザイナー」、「グラフィックデザイナー」、そして「こどもと遊ぶ人」という言葉をのこしている。そのムナーリが色や形、そして素材を視覚言語とする絵本《きりのなかのサーカス》を生み出した。

本展では、絵本《きりのなかのサーカス》を創造の可能性に挑んだムナーリの代表作としてとらえ、彼自身が監修し制作した7枚のスクリーンに着目した。絵本ではトレーシングペーパーを用いて巧みに霧の中の情景を表現したムナーリは、大きな紗のスクリーンにプリントすることによって、絵本とは異なる次元で表情豊かな霧の中のイメージを現出させている。当館デザインギャラリーにおいて、ムナーリ作のスクリーンをダイナミックに構成することにより、体感できる絵本世界《きりのなかのサーカス》を創出する。

また、絵作りゲーム《つけたり・とったり》は、モノをさかさまにしたり、裏返したり、対立させて考えること、また、中身を変えずに重ねていくこと、異なるモノに転用させることなどの、デザインを考える上で必要な手法が盛り込まれた遊具である。動物や風景などが象られたプラスティックカードを重ねることによって、会場内のライトテーブルの上に無限に物語が生まれてくる。

本展は、来場者が自由に回遊し、さまざまな知覚体験を通して、創造力の源であるムナーリの「ファンタジア」に触れることのできる場となる。

未完の横尾忠則ー君のものは僕のもの、僕のものは僕のもの

2009年8月1日(土) - 2009年11月3日(火)

絵画、デザイン、映画、演劇、音楽、文学・・・ジャンルを横断しながら、目にしたもの、耳にしたもの、あらゆるものごとを自身に入力し、独自の流儀で変換出力して世界像を変容する横尾芸術の本質——それは、「未完」であること。

「未完」の横尾ワールドを、表から裏から、中から外から、ひっくり返して探検する本展は、横尾忠則の未完成交響詩。

■アトリエの中に眠っていた未完の絵画大放出
・未発表作品、未完成作品、落選作品<展示室11>

■アトリエの外では未完の絵画大発生
・PCPPPと横尾工房で生まれた作品<展示室7、8、プロジェクト工房>

■未完の人間=横尾少年が自己複製を繰返す未完のイコン
・「ピンクガール」=永遠の少年が夢み続けるマドンナ。<展示室9、10>
・「ルソー」=横尾の複製行為は歴史に残る無礼講<展示室14>
・「Y字路」=行き先不明のY字路こそ横尾の居場所<展示室7・8ほか>

広瀬光治と西山美なコの “ニットカフェ・イン・マイルーム”

2009年4月29日(水) - 2010年3月22日(月)

「広瀬光治と西山美なコの“ニットカフェ・イン・マイルーム”」は、金沢若者夢チャレンジアートプログラムの第三弾で、金沢21世紀美術館で展開される長期プロジェクト型展覧会です。当館の展示室13において、広瀬光治と西山美なコ制作による作品《ニットカフェ・イン・マイルーム》が展開されます。

卓越した技術で独自のニット表現を展開するニット界の伝道師・広瀬光治と個人や共同体にとっての「あこがれ」や「理想」の世界を独自の造形言語によって追求してきた西山美なコ。二人のコラボレーションによって、「ニットカフェ・イン・マイルーム」という空間が展示室に作り出され、この場をプラットフォームとして、鑑賞者に向けた様々な編物プロジェクト、ワークショップが展開されます。一年間という長期プロジェクトを通して、「編む」という行為や創造の意義、可能性を探ります。