期間:
2025年10月18日(土) - 2026年3月22日(日)
2025年10月18日(土) - 2026年3月22日(日)
金沢21世紀美術館
長期インスタレーションルーム、プロジェクト工房、交流ゾーン
月曜日(ただし10月27日、11月3日、11月24日、1月12日、2月23日は開場)10月28日、11月4日、11月25日、12月30日〜1月1日、1月13日、2月24日
マレーシア生まれ、香港とロンドンを拠点に活動するアーティスト江康泉(江記/Kongkee)は、マンガ、アニメーション、絵画、インスタレーション、パフォーマンスといった多様な領域を横断しながら、ジャンルやメディウムの枠にとらわれない創作活動を展開してきました。その作品は、東洋の古典文学や思想、歴史的モチーフを参照しながら、都市と個人の記憶、アイデンティティなどのテーマを重層的に結びつけ、過去・現在・未来が交差する独自の世界観を形成しています。
代表作「離騒幻覚(りそうげんかく)」シリーズでは、秦の始皇帝や屈原(くつげん)、楚懐王(そかいおう)といった中国古代の人物にまつわる史実と伝説をもとに、サイバーパンク的なディストピア世界を描き出し、自由意志と人間存在の本質といった根源的な問いに迫ります。また新作「未来本生譚(ほんしょうたん)」シリーズでは、仏教の「本生譚」をモチーフに、人工知能がある日突然「悟り」に至るという未来を想像しました。江は、伝統的な宗教美術とテクノロジーを交錯させることで、人間とAIが共有しうる精神性、そして信仰の行方を問いかけます。
このように江の作品は、マスメディアによって世界中に流通・定着してきた西洋中心の未来像とは異なり、アジアの歴史と文化に根ざした視点から、人間とテクノロジーの関係性に対するもう一つの未来像を提示しています。そこで重要となるのが、「アジア・フューチャリズム」という視座です。これは、グローバリゼーションの進行によって均質化しつつある視覚文化や価値観に対する批評的応答として、アジア独自の哲学と美学を基盤に、未来に対する想像力を再構築しようとする試みです。この「アジア・フューチャリズム」という視点で、江の多彩な表現をご覧ください。
従来、西洋における植民地主義、科学技術の発展およびグローバル化を軸とした近代的フューチャリズムが世界的に支配的な地位を占めてきた一方で、非西洋圏、とりわけアジアにおける歴史的、文化的、思想的背景に根ざした未来に対する文学と視覚表現は、依然として周縁的な位置に置かれがちです。本シンポジウムは、このような東西世界の非対称性および文学と視覚表現の同質化に対して批判的に介入し、アジアの歴史と文化に基づくオルタナティブな未来論の可能性を探究します。キーノートスピーカー2名の発表と登壇者全員によるディスカッションで構成される予定。
日時:2025年10月18日(土) 14:00〜16:30(開場13:30)
会場:金沢21世紀美術館 シアター21
定員:100名(先着順)※定員になり次第締切
予約:Peatix(10月1日より受付開始)
料金:無料
登壇者:江康泉(出展アーティスト)、アビー・チェン(陳暢Abby Chen、サンフランシスコ・アジア美術館)現代美術部門首席キュレーター)、たかくらかずき(アーティスト)、羅文楽(アーティスト、執筆者、Penguin Lab共同主宰)
モデレーター:杭亦舒(金沢21世紀美術館学芸員、本展企画担当)
助成:公益財団法人 小笠原敏晶財団
※日英同時通訳付
開催日:11月15日(土)、11月22日(土)、12月6日(土)、12月20日(土)、1月24日(土)、2月7日(土)、2月21日(土)、3月7日(土)、3月22日(日)
時間:13:30~13:50
言語:日本語、英語、中国語(普通話)
集合場所:チケットカウンターの裏
参加無料、予約不要
江康泉(江記 / Kongkee)
1977年サラワク(マレーシア)生まれ、香港育ち。2000年香港中文大学の美術学部卒業、2005年香港城市大学クリエイティブメディア修士課程修了。視覚芸術とアニメーション監督を主な活動領域としながら、インディペンデント出版や映像芸術など、異分野とのコラボレーションにも取り組んでいる。
2003年、複数の香港のクリエイターとともに、アーティスト主導の出版団体「29s」を設立。2006年、文芸雑誌『字花(Fleurs des Lettres)』創刊期のアートディレクターの一人を務める。2015年、イギリスのロックバンドBlurとのコラボレーションによるマンガ『香江模糊記』を発表。2013年からはマンガシリーズ『汨羅(べきら)虚擬』の制作を開始し、後にそれをアニメーション化した短編作品《離騒幻覚:序》が、2020年TBS主催の第22回DigiCon6でグランプリを受賞。
2021年、インタラクティブ・ヴィデオインスタレーション《海市鏡花》がM+美術館の委託により制作された。2022年、大規模な個展「Kongkee: Warring States Cyberpunk」がサンフランシスコにあるアジア美術館で開催され、シカゴのWrightwood 659美術館、香港の大館(Tai Kwun)へと巡回。2024年、アジア・ソサエティ(アメリカ)より「Asia Game Changer West Awards」を受賞。2025年、第18回イスタンブール・ビエンナーレ出展。
《離騒幻覺:序》2020年 ヴィデオ 14分49秒
ディレクター:江康泉、崔嘉曦、李国威
Image courtesy of the artist.
会場:プロジェクト工房
戦国時代を制し、中国初の統一王朝を築いた秦の始皇帝は、不老不死の霊薬を求めて探究に没頭しましたが、結局その夢は叶わず、彼の死とともに秦帝国も瞬く間に崩壊しました。
──もし始皇帝が不死の秘密を手にし、永久かつ絶対的な統治を築いていたとしたら?
「離騒幻覚」シリーズは、この仮説を起点に、人間とアンドロイド、サイボーグが共存するサイバーパンクな世界を描き出します。そこでは、人々は不老不死と引き換えに「永生計画」システムに接続し、個人の身体と意識は厳密な監視と管理に服し、一方でシステムの支配を拒む者たちは「祭司」として活動を続けます。
本作の主人公であるアンドロイド「祖」は、「祭司」であった楚の屈原の記憶と人格を複製された存在。彼は、歴史と現在、現実とフィクションの境界を往還しながら、人間という存在にとって根源的主題である「自由意志」と向き合います。
本アニメーションシリーズは、江康泉が2013年より不定期に連載しているマンガ作品『汨羅虚擬』を起点として展開されたプロジェクトです。江康泉、李国威(リークォワイ)、崔嘉曦(チュイカヘイ)の共同監督のもと、2017年に《離騒幻覚:汨羅篇》、2018年に《離騒幻覚:刺秦(ししん)篇》が制作・発表されました。シリーズは約80分の長編アニメーション映画としての完成を目指し、2018年4月よりクラウドファンディングによる制作資金の調達が開始されました。2020年に公開された《離騒幻覚:序》は、同年にTBS主催の第22回DigiCon6においてグランプリを受賞しました。
左上:《思美人》 右上:《離騷》
左下:《離騷》 右下:《思美人》 2018年
エナメル塗料、アクリル / 既製品のタクシードア
H114×W120×D17cm、H112×W107×D17cm、2点組 作家蔵
© Kongkee
Image courtesy of the artist and gdm.
会場:長期インスタレーションルーム
アニメーション本編と併せて、「離騒幻覚」の世界観を拡張・展開する多様なメディウムによる作品群を紹介します。江康泉は、香港の都市風景を象徴する赤いタクシーのドアを支持体として用い、その表面に「離騒幻覚」の登場人物のドローイングと伝・屈原作の詩の一節を重ねることで、フィクションの物語世界と現実の都市空間との接続を試みました。また、シリーズの原点となるマンガ『汨羅虚擬』の原画や、アニメーション制作における絵コンテ、キャラクターデザインなども併せて展示され、「離騒幻覚」という多層的な世界観がいかに構築されているかを視覚的に辿ることができます。
アニメーションという時間芸術を核としながらも、その物語世界はドローイングや彫刻などの多様な形式で展開され、現代都市の記憶やサイバーパンク的想像といったテーマと多元的に交差しています。
《如露亦如電》2025年
ミクスト・メディア / 亜鉛めっき鋼板
H107×W107×D2.5cm 個人蔵
© Kongkee
Image courtesy of the artist and gdm.
会場:長期インスタレーションルーム
「本生譚(ほんしょうたん)」とは、釈迦が過去世において様々な姿で生きた物語を伝える仏教説話です。江康泉による「未来本生譚」は、古代から伝承された宗教の物語に未来的な視点を重ね、人工知能がある日突然「悟り」に至るという仮想の世界を描いたシリーズです。AIは、果たして人生の意味を見出すことができるのでしょうか。あるいは、私たち人間は、ロボットとの対話を通してインスピレーションを受けることができるのでしょうか。
本シリーズでは、絵画、アニメーション、レンチキュラーライトボックス、ネオン管といった多様なメディウムを駆使し、江の想像力が多層的に展開されています。視覚表現においては、敦煌石窟の壁画や教会のステンドグラス画といった宗教美術へのオマージュが見られる一方で、ACG文化(アニメ・マンガ・ゲーム)に特有の造形言語も色濃く反映されています。
古代と未来、宗教とテクノロジー、東洋と西洋——対照的な要素がひとつの画面に共存し、そこには、来たる時代の信仰や精神性に対する江なりの問いかけが込められています。
《River》 2020年
ヴィデオ
5分5秒
作家蔵
© Kongkee, courtesy of the artist
会場:交流ゾーン、長期インスタレーションルーム
江康泉は、キャリア初期より漫画家・アニメーターとして活動を展開してきました。本展では、近年発表された短編アニメーション作品にも焦点を当て、江の多彩な映像表現を紹介します。
カラー作品においては、伝統的な中国山水画の表現方法を参照しつつ、スターフェリーや道路標識といった香港の都市風景を重ね合わせることで、過去と現在が交錯する映像空間を構築しています。一方で、哲学的主題を扱ったモノクロ作品では、より抽象的かつ内省的な表現を通じて、思索の視覚化を試みています。
江のアニメーションは、形式的にもテーマ的にも実験性に富み、個人の記憶や都市の変容、東洋哲学的思考などのテーマを、独自の詩的映像言語によって描き出しています。
※《River》上映時間 16:00〜22:00
全4種類 価格:税込1,980円
全2種類 価格:税込1,980円
価格:
レンチキュラーTシャツ(黒)税込7,700円
プリントTシャツ(白) 税込6,050円
サイズ:S/M/L/XL
10月下旬販売開始
208頁、フルカラー
価格:税込6,600円
※当館館内のミュージアムショップで
ご購入いただいた場合、
展覧会限定ポストカード特典付き
(数量限定・なくなり次第終了)
全2種類 価格未定
12月上旬販売開始
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
北國新聞社