特集 美術館と隣人
本号の特集は、「美術館と隣人」です。「まちに開かれた公園のような美術館」をコンセプトに設計された当館は、2024年に開館20周年を迎え、来年には大規模改修を控えています。そのような節目を迎えるいま、このコンセプトについてあらためて批判的に考えることの重要性を感じています。当館は年間200万人近い来館者を迎える観光地/賑わいの場としての性格をもっていますが、「公園」は単に多くの人が訪れればよいというわけではありません。そこには賑わいだけでなく、互いに干渉しない距離や、ときに無関心のまま共存する関係も含まれています。本特集では、そのような美術館と公共性の関係を「隣人」という視点から考えます。
アール issue 11 特集「美術館と隣人」
特別連載 美術館とコレクション形成
本連載は、金沢21世紀美術館が2024年に開館20周年を迎えたことを機に、特にコレクション形成を振り返るために企画されました。当館は2004年の開館以前の準備段階から、初期コレクション形成と収集方針の策定を進め、その指針のもと現在に至るまで継続的に作品を収集してきました。本連載に収録されたテキストは、こうしたコレクションをめぐる実践を出発点とし、それぞれの視点から美術館の役割や可能性を捉え直すものです。第一回目は、複数の美術館運営に携わってきた建畠晢氏と、当館前館長で設立準備にも深く関わった長谷川祐子氏の対談を掲載します。あわせて、長谷川氏、および当館前チーフ・キュレーターの黒澤浩美氏の論考を掲載します。建畠氏と長谷川氏の対談では、日本における現代美術の現場に長く携わってきたおふたりの視点から、美術館とコレクションの関係について語られています。長谷川氏の論考は、「開かれた美術館をつくる」という当館の理念と、コレクション形成がいかに不可分に構想されていたかを示しています。黒澤氏の論考は、現代美術がそれまでの美術といかに異なるか、そしてそれが美術館のあり方にどう影響を与えてきたかを論じています。本連載が、コレクションを手がかりに、これからの美術館の姿を考える一助となれば幸いです。
アール issue 11 特別連載「美術館とコレクション形成」