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金沢21世紀美術館

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EXHIBITION展覧会

アペルト12 安西剛 「ポリ-」

2020年6月27日(土) -
2020年11月23日(月)

《distance》2019

インフォメーション

期間:
2020年6月27日(土) 〜2020年11月23日(月)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
会場:
金沢21世紀美術館
長期インスタレーションルーム
休場日:
月曜日(ただし 、8月10日、9月21日、11月23日は開場)、8月11日(火)、9月23日(水)
料金:
無料
お問い合わせ:
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

概要

安西剛(1987年生まれ)は日用品、とりわけ安価で大量に出回っているプラスチック製品を主な素材とし、それらの機能や意味を無効化し、オブジェクトとして提示したときに、人々がどうそれを見るのか、どう関係するのかについて考察しています。

不思議な動きをする日用品、ゴミとなるはずのプラスチックの梱包容器から模られた彫刻、プラスチックの断片をなぞったドローイング…。カラフルで楽しげで、どこか子どもの遊びの延長のようにも見える安西の作品は、しかし、見知ったものが知らない動きや表情を見せる様子に、どこか得体のしれない気味悪さも感じさせます。

展覧会のタイトル「ポリ-」はポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど、プラスチックと総称される多くの素材の接頭語である「ポリ(poly)」からきています。この言葉には「多数の・多種の」という意味があり、また化学分子が結合して重合した状態を表す接頭語でもあります。石油が原料とは知っているものの、私たちの多くはその違いをほとんど認識せず、作られ方もわからないままそれらを「プラスチック」として認識し、日々の生活の中で使っています。

世界的にその使用量や処理方法について問題になっている昨今、一方で、それが無いという状況を想像できないほど、あまりにも日常的に使われているプラスチックと人間との関係性について、「近いのに遠い、不思議な距離感」と安西は語ります。この展覧会を通して、自分たちを取り巻く社会の不可解さや不確かさについて問いかけます。

作家プロフィール

photo:冨田了平

安西剛 (あんざい つよし)

1987年生まれ、埼玉県在住。2009年東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒、2011年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。主な展覧会に「セカイがハンテンし、テイク」(川崎市市民ミュージアム、神奈川、2013年)、「Jailhouse Locke」(大和日英基金、英国、2018年)、「2016 Core Exhibition」(ヒューストン美術館、米国、2016年)、「The Strange Objects」(Pohang Museum of Steel Art、韓国、2017年)など。

作家ステイトメント

プラスチックと人との間には、近くて遠い奇妙な距離感がある。
私たちはたくさんのプラスチックに囲まれている。もし突然文明が崩壊したり、猿が支配する惑星に辿り着いてしまったら、私はプラスチックを一から作り出せるだろうか? 何らかの化学反応で石油からプラスチックができるなんて、とても実感が湧かない。こんなにも身近なのにリアリティがないなんて、まるでファンタジーの世界の話のようだ。
今、海洋ゴミや二酸化炭素の排出量が問題になっている。個人の心がけが大きな結果を生む、という人もいる。にも関わらず、私は宅配を依頼し、プラスチックの容器に入った薬を飲み続ける。重大な社会問題を差し置いて、満員電車の席をとることに一喜一憂する。
近すぎても遠すぎてもよく見えない。そこには適切な距離というものがあるのかも知れない。でも丁度良い地点に居続けることは難しい。近づいたり遠ざかったり、私たちは常に運動の最中にいる。

作品解説

《distance》2020
ミクストメディア
サイズ可変

《distance》

カメラ・オブスクラの原理により、小部屋の中の様子が物理的にスクリーンへ投影されています。小部屋の中では、日用品を組み合わせた動く彫刻のインスタレーションが展開されています。 即興的に制作される機械の動きは、不安定でぎこちなく、無生物で構成されているにも関わらず、時に生き物のような存在感を感じさせます。そこに何かが存在するにも関わらず、投影されたイリュージョンとしてしか対象を見ることができない、というモノとの関係は、感覚器官を通してしかモノと関わることができない、私たちの世界へのジレンマのようです。

《Artifact no.5》2020
海洋プラスチック、パテ
H30×W30×D30cm

《Artifact》

考古学で出土した土器片を組み合わせて修復する「復元」のように、この作品は海岸で収拾されたプラスチック片を組み合わせて作られたものです。 実際のプラスチック片は、複雑な海流によって様々な国々から海岸へと打ち上げられるので、「復元」された日用品は奇妙な形に歪んでしまっています。この歪みは、私たちとプラスチックの関係をそのまま表しているかのようです。 数万年後、もし人類以後の考古学者が同じ場所から「出土」したプラスチック片を元に何かを修復しようとしたら。 彼らの前に、私たちの生活はどのように「復元」されるのでしょうか。

《なにかの抜け殻》(部分)2020
セメント
サイズ可変

《なにかの抜け殻》

これらの物体は、スーパーなどでよく見かける日用品のパッケージのプラスチックカバーにセメントを流し込んでできたものです。プラスチックカバーは、日用品を保護するために、対象の形を少し拡大し抽象化したような形をしており、 透明で薄い膜のような質感は、表面だけで物質感を持たない、虚ろな「抜け殻」のようです。そんな「殻」の内部の空間を鋳造することで反転し、実体として提示しています。

《OOPArts no.4》(部分)2020
インクジェットプリント、水性顔料インク・アクリル
H86×W61.3cm

《OOPArts》

海岸で拾ったプラスチック片が、元はどのような形をしていたかを想像して描いた、写真とドローイングを組み合わせた作品です。 タイトルのオーパーツ(OOPArts)とは「場違いな工芸品」という意味で、海流にのって漂流してきたプラスチック片も、さらにそこから想像して描かれた物体もまた、どの場所にもどの時代にもそぐわないものだと言えるかもしれません。

《こっち向いて》2020
展示ケース、
海洋プラスチック、LED
H195×W150×D60cm

《こっち向いて》

ガラスケースと壁とのわずかな隙間から、色とりどりの光が漏れでています。 これは、ガラスケースの中に詰め込まれた石川県の海岸で拾ってきたゴミの反射光です。 実体としてそこにゴミが存在しているが、ガラスケースが壁を向いているため、曖昧な反射光としてしか見ることができないこの状況は、身に差し迫った重要な問題であるとは知りつつも、実感としてその深刻さを受け止めることが難しいという、社会的な課題と私たちの日常的な距離のようです。

「アペルト」シリーズとは

「アペルト」は、若手作家を中心に個展形式で紹介する展覧会のシリーズです。
金沢21世紀美術館は世界の「現在」とともに生きる美術館として、今まさに興りつつある新しい動向に目を向けています。作家とキュレーターが作品発表の機会を共に創出し、未来の創造への橋渡しをします。
国籍や表現方法を問わず、これまで美術館での個展や主要なグループ展への参加経験は少ないが、個展開催に十分な制作意欲を持ち、アペルト実施以後のさらなる飛躍が期待できる作家を紹介していくものです。
※「アペルト(aperto)」は、イタリア語で『開くこと』の意味。

Movies

  • アペルト12 安西剛 「ポリ-」

主催/ほか

主催:
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]