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金沢21世紀美術館

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EXHIBITION展覧会

コレクション展 見ることの冒険

2018年1月27日(土) -
2018年6月24日(日)

インフォメーション

期間:
2018年1月27日(土) 〜2018年6月24日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
会場:
金沢21世紀美術館
展示室1〜6
料金:
一般=360円(280円)
大学生=280円(220円)
小中高生=無料
65歳以上の方=280円
※( )内は団体料金(20名以上)
休場日:
月曜日(ただし2月12日、4月30日は開場)、2月13日(火)
お問い合わせ:
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

概要

見ることは、多くの人にとって、当たり前の行為ですが、意識を持って見るということは案外に難しく、それゆえに色々なことを見過ごしてしまいがちです。
美術館という場所は、作品を「見ること」、「愛でること」、「考えること」に適した場所です。美術作品を鑑賞することが好きという方も、苦手という方も、この展覧会にご来場いただいた方に、「まずは作品をよく見ることから始めましょう」と言いたい。展覧会「見ることの冒険」はそこから始まります。
作品に、いつもより気持ちの上でもう一歩近づいてみる、いつもより10秒長く立ち止まってみる、見尽くしたと思っても、もう少し見てみる。そこから、見えていなかった細部に気づいたり、様々な想像をめぐらせる時間が生まれるかもしれません。そこで得られる様々な発見や驚き、感動は、冒険物語のそれと変わらないと思います。
どうか積極的に作品と向き合い、自分自身の冒険譚を紡いでください。
(本展キュレーター 山下樹里)

関連プログラム

小金沢健人 × 鈴木ヒラク トーク + パフォーマンス「一本の木から」

期間:2018年6月22日(金) 18:00〜18:30
会場:金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA 東側通路
料金:無料
24日(日)に閉幕する「コレクション展 見ることの冒険」に関連して、出品作家である小金沢健人と鈴木ヒラクによるトーク+パフォーマンスセッションを開催します。真っさらなロール紙を立てた状態を一本の木に見立て、それをめぐって二人が即興で対話を行います。言葉と行為のあいだで交わされる、それぞれの「かくこと=ドローイング」は、どのような冒険へと展開していくのでしょうか。

展示構成と展示作家

本展では、色、形、素材、表現方法の異なる作品や、抽象度が高く多様な見方ができる作品を展示します。展示室ごとに、見るためのヒントとなるキーワードを掲げて、来館者が作品を見る際の一助となる仕組みを作っています。

「じっくり見る、見つけだす」

《bacteria sign (circle)》 2000
土、枯葉、アクリル/木製パネル  H45×W45×D0.9cm
金沢21世紀美術館蔵 © SUZUKI Hiraku
photo: SAIKI Taku

鈴木ヒラク SUZUKI Hiraku

1978年宮城県(日本)生まれ、神奈川県在住。
鈴木ヒラクは、平面、彫刻、インスタレーション、ライブドローイング、映像など、多岐にわたる表現方法を用いながらも、一貫して「書くこと」、「描くこと」について探求している。路上で目にする記号やことば、植物などの自然物やコンクリート片などの人工物まで、様々なかたちを発見し、収集・分解して、再構築することで新たな線やかたちを創造する。音楽家やファッションデザイナーとのコラボレーションなど、ジャンルを横断した活動も多数手がける。

「しゃがんで見る、横から見る」

《L'Origine du monde》 (世界の起源) 2004
楕円の長径:700cm
金沢21世紀美術館蔵 © Anish Kapoor

アニッシュ・カプーア Anish KAPOOR

1954年ムンバイ(インド)生まれ。ロンドン(英国)在住。
幼少期をインドで過ごし、17歳で渡英したアニッシュ・カプーアは、1970年代後半より作品を発表し始める。初期には、表面を顔料で覆う立体作品を多く制作するが、それらは次第に内部を露わにするようになる。岩盤のような床に切り込みや穴を開け、その内部を顔料で覆うことにより、洞窟の入口や大地の亀裂を思わせる作品へと繋がっていく。また、ステンレス・スチール、漆といった素材、蒸気そのものを作品に取り入れるなど、多様な表現を展開してきた。これらの作品は、常に我々の視覚や日常的な認識の再考を促す。次元を越えて生み出される未知なる世界像には、人間存在、生命へのカプーア独自のまなざしが映し出されている。

「近づいたり、遠ざかったり」

《作品》 1963
アクリル/カンヴァス H212.2×W136.4cm
金沢21世紀美術館蔵 © YAMAZAKI Tsuruko

山崎つる子 YAMAZAKI Tsuruko

1925年兵庫県芦屋市生まれ、同地在住。
山崎つる子は1954年に結成された「具体美術協会」の草創期のメンバーであった。その後もAU(アーティスト・ユニオン)、展覧会等、様々な活動において、ブリキを用いた立体、パフォーマンス、絵画といった多様な作品の制作を行ってきている。数十年に及ぶ制作活動を通して、山崎は一貫して実像と虚像、視覚・認知・再現をテーマに制作を続け、個と世界との関わりについて独自の視点で表している。「具体美術協会」のリーダーであった吉原治良が述べた「他人のやらないことをやれ」に象徴される前衛的な美術論はその後の山崎の制作活動に多大な影響を与えた。

《アマランス色、「輝き」シリーズより》 2004
顔料、パステル、バインダー/麻布 
H250×W250cm 金沢21世紀美術館蔵 
© Monique FRYDMAN
photo: SAIKI Taku

モニーク・フリードマン Monique FRYDMAN

1943年タルヌ県ナージュ(フランス)生まれ、パリ、スナント在住。
現在、フランスを代表する女性作家のひとりであるモニーク・フリードマンは、1970年代終わりから作家活動を開始した。絵画制作を中心に据え、色と光の表現をカンヴァス、顔料、パステル、紐、紙などの素材を用いて追求する。自身の身体と素材との親密で双方向的なダイアローグ(対話)の中で浮かび上がっていく色やイメージには、時には作家自身も気がつかなかった自らのルーツや過去の記憶の断片が表出し、我々ひとりひとりの記憶や心をも揺さぶる。近年では、ガラスやプレキシグラス、紙や布などを用いたサイト・スペシフィックなインスタレーション(特定の場所に帰属する作品)も手掛けている。

「目で追いかける、目をとじてみる」

《蝶を放つ》 2015
HD映像、紙、水性顔料 サイズ可変
金沢21世紀美術館蔵
© KOGANEZAWA Takehito

小金沢健人 KOGANEZAWA Takehito

1974年東京都(日本)生まれ、広島県尾道市在住。
武蔵野美術大学で映像を学んだ小金沢は、在学中より「スタジオ食堂」の活動に参加し、1997年には横浜で開催されたグループ展で映像作品を発表している。卒業後まもなくドイツに渡り、2017年初頭までベルリンを拠点に制作を続けてきた。映像を軸としつつパフォーマンスやドローイング、そしてインスタレーションへと表現の幅を拡げ、国内外で作品を発表。日常の機微を鋭敏に察知し、そこに潜む謎や不穏、美しさやおかしみを浮かび上がらせる作品は高い評価を受けている。

「ぐるりと見る、動きを見る」

《Glass No.4 H》 1998
ガラス H83×W83×D77cm
金沢21世紀美術館蔵 © KADONAGA Kazuo
photo: NAKAMICHI Atsushi / Nacása & Partners

角永和夫 KADONAGA Kazuo

1946年石川県鶴来町(現白山市、日本)生まれ、石川県金沢市在住。
当初、画家を志していた角永は、60年代のミニマル・アートやコンセプチュアル・アートを背景に、70年代初頭から木を素材とした彫刻作品を発表する。その後、角材や丸太を薄くスライスし、重ねて元の形に再構築する作品や、漉いた和紙を何枚も重ねて脱水・乾燥させ、一部を剥がした作品など、人為的な加工を極力排除し、素材がもともと持ち合わせている性質や作品の生成のプロセスを可視化するような制作スタイルを確立する。竹やガラス、シルク(蚕)など他の素材を用いる際もその制作態度は変わらずに貫き続けている。

《何としても》 2001
大理石 H247×W90×D90cm
金沢21世紀美術館蔵 © Tony CRAGG
photo: NAKAMICHI Atsushi / Nacása & Partners

トニー・クラッグ Tony CRAGG

1949年リヴァプール(英国)生まれ、ヴッパータール(ドイツ)在住。
一貫して、物と物の関係性への洞察を反映させた作品を発表し続けている作家である。その対象は人工物から自然界の物まで幅広く、その形態や機能に目を向けることで深い繋がりを見つけ出す。部分が全体となり全体が部分となってしまうような生命体的感覚を物の配置によって表現したり、物に生じる機能としての使用価値や交換価値の増減にも着目している。近年は特に生命の有機的な形を解析して立体化した彫刻を多く発表している。

「とじたら、ひらいたら」

リジア・クラーク Lygia CLARK

1920年ベロ・オリゾンチ(ブラジル)生まれ、1988年リオ・デ・ジャネイロにて逝去。
1950から1951年にパリに渡り、アルパド・スゼンヌに師事。帰国後、ブラジル国内を席巻しいていた合理的な幾何学的抽象を推し進める「具体主義」を継承するも、やがてエリオ・オイティシカやリジア・パペらとともに「新具体主義運動」を立ち上げ、幾何学的な造形に主観や表現性を回復することを唱えた。鑑賞者が作品に関与し相互に作用する「動物」シリーズなどを手がけるが、やがてそれらは、身体的な関心へ向かい、鑑賞者の感覚を実験するような作品を手掛け、メビウスの輪や衣服のような内部と外部が反転する作品の制作へ向かう。ブラジルを代表する現代作家のひとりとして活躍し、1961年には「動物」シリーズでサンパウロ・ビエンナーレ最優秀彫刻賞を受賞。

「歩き回って見る、立ち止まって見る」

《レームブルック》 2000
木、金属、アルミ箔、ポストカード  
H320×W20×D18cm
金沢21世紀美術館蔵 © Isa GENZKEN
photo: SAIKI Taku

イザ・ゲンツケン Isa GENZKEN

1948年バート・オルデスローエ(ドイツ)生まれ、ベルリン在住。
1980年代初頭、床置きの大掛かりな彫刻で注目を集める。その後、油彩、写真、映画など多岐にわたるメディアを用いながら作品を制作。荒々しさと繊細さ、開放性と閉塞性、透明性と不透明性など相反する2つの概念をひとつの俎上に載せるような作品を作り続けている。緻密な計算と意外性を併置して、その両者の均衡をとろうとする作家である。

《回転するピラミッドII》 2007
鏡、動力装置 H200×W200×D110cm
金沢21世紀美術館蔵 © Jeppe HEIN
courtesy: Johann König, Berlin, 303 Gallery, New York, and
SCAI The Bathhouse, Tokyo
photo: KIOKU Keizo

イェッペ・ハイン Jeppe HEIN

1974年コペンハーゲン(デンマーク)生まれ、ベルリン(ドイツ)在住。
コペンハーゲン王立芸術アカデミー卒業。円や四角形などの単純な幾何学的形態、白などの無彩色、鏡や透明な素材を多用し、一見1960年代のミニマリズムの作品にも見えるような立体作品を制作する。だが、その作品には観客の動きに反応して動き出す機構が組み込まれていたりするなど、いたずらっぽいユーモラスな作風である。茶目っ気たっぷりに観客の作品に対する緊張感をほぐしながら、観客同士の間にコミュニケーションを生み出すことを意図した作品も多い。アムステルダム国立美術館の庭園に設置された噴水やコペンハーゲンのカストラップに設置された変型ベンチなど、常設のパブリック・アートも手掛ける。 

主催/ほか

主催:
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]