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金沢21世紀美術館

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EXHIBITION展覧会

コレクション展 I  透過と反射

2014年4月12日(土) -
2014年9月21日(日)

インフォメーション

期間:
2014年4月12日(土) 〜2014年9月21日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
会場:
金沢21世紀美術館
展示室1-6、交流ゾーン、外構
休場日:
月曜日(ただし、4月28日、5月5日、7月21日、8月11日、9月15日は開場)5月7日、7月22日、9月16日
料金:
一般=360円(280円)
大学生=280円(220円)
小中高生=無料
65歳以上=280円

※( )内は団体料金(20名以上)
※ 前売券販売はありません。
お問い合わせ:
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

概要

開館10周年を記念し、これまでに収集してきたコレクションの中から初公開や久々の展示となる作品を中心に、コミッションワークや金沢ゆかりの作家の作品を含め、当館の収蔵作品21点を展観します。
「コレクション展Ⅰ 透過と反射」では、光を透過し、あるいは反射する素材が用いられた立体作品をはじめ、自己の反射としての自画像やレンズを通すことで像を得る写真など、さまざまな表現から浮かび上がってくる「透過と反射」がテーマとなっています。
古来より人間は、透明な物質や磨き上げられた表面に強い関心を示してきました。美術でもまた作品が窓や鏡にたとえられてきたように「透過と反射」は繰り返し登場してきた概念です。透明性の高い素材や鏡面の技法が生み出す効果は、私たちに大きな驚きと直感的な愉しみを与え、さらにそれぞれの作品に眼を凝らすことで透けて見えてくるもの、映し出されるものは私たちの視覚のチャンネルを変え、新しい思考を誘発します。
本展を見終わってもう一度美術館を散策したとき、美術館を覆う円形のガラス壁や、ここそこにある大きな透明の扉にはどんな姿が映し出され、その向こうにはどんな光景が広がっているでしょうか。

関連プログラム

絵本を読もう
日時:7月12日(土) 15:00〜(約40分間)
集合場所:授乳室前(キッズスタジオ横)
対象:子どもから大人まで(幼児は保護者同伴)
料金:無料
タンキング・マシーン体験&アーティスト・トーク
日時:2014年8月9日(土)
タンキング・マシーン体験:13:00、13:30、14:00、15:00、15:30、16:00( 計6回)
ヤノベケンジ アーティスト・トーク:17:00〜18:30
ギャラリートーク
本展担当キュレーターによるトーク。作品の見どころをご紹介します。
日時:5月10日(土) 14:00、6月14日(土) 13:00、
   7月12日(土) 14:00、9月13日(土) 14:00
集合場所:金沢21世紀美術館 総合受付前
料金:無料(ただし、当日の本展の観覧券が必要)
宮永愛子アーティスト・トーク「儚い、ということ。」
日時:9月19日(金) 15:00〜16:30
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
定員:先着90名
料金:無料

作品・作家解説

フランチェスコ・クレメンテ《靴とグラスのある自画像》 1979
墨、グアッシュ/ 紙(リンネル・カンヴァスに裏打ち)
H202×W497cm
© Francesco CLEMENTE
photo: SAIKI Taku

フランチェスコ・クレメンテ Francesco CLEMENTE

1952 年ナポリ生まれ、ローマ(イタリア)、チェンナイ(インド)及びニューヨーク(アメリカ)在住。幼い頃は詩を多く創作し、絵画を独学で学ぶ。ローマに移り、1972 年アリギエロ・ボエッティと出会い、大きな影響を受ける。また、インド、アフガニスタンを旅し、その文化や思想がその後の制作活動に重要となる。1980年代には、イタリアの新表現主義の動向「トランスアヴァングァルディア」の作家のひとりとみなされる。異なる文化圏に滞在しながら細密画、モザイク画、フレスコ画など多岐にわたる技法で制作する一方、アレン・ギンズバーグ、アンディ・ウォーホル、ジャン・ミッシェル=バスキアと共同制作も行う。自己を見つめ、個人的な体験として、記憶、文化、時代、性差を自由に行き交うような断片化したイメージが特徴的である。

オラファー・エリアソン《La situazione antispettiva(反視的状況)》2003
ステンレス・スチール、ステンレス・スチール・ミラー
W1500×φ500cm
© Olafur ELIASSON
photo: © ANZAÏ

オラファー・エリアソン Olafur ELIASSON

1967年コペンハーゲン(デンマーク)生まれ、ベルリン(ドイツ)在住。光、水、色、鏡などを使い、人間が眼に見える現象をどのように認識するかということに関心を抱き、その認識がどのように形成されるかという過程を探求する作品で知られている。眼前の現象がどのように創りだされているかについては包み隠すところはなく、科学的な知覚認知の仕組みを問うというよりは、多くの作品が純粋に見る楽しみと喜びを感じさせるものである。巨大なプロジェクトにも積極的に取り組み、建築との関わりも重要な観点のひとつとしている。

ヤン・フィシャル《変わりやすさ/ 2000》 2000-2001
クリスタルガラス
H43×W48×D38cm
© Jan FIŠAR
photo: SAIKI Taku

ヤン・フィシャル Jan FIŠAR

1933年ホジェヴィツェ(旧チェコスロヴァキア)生まれ、2010年逝去。大学卒業後しばらくは石と木による彫刻を制作するが、1966 年、翌年のモントリオール万博のために、モニュメンタルなガラス作品を制作するチームに彫刻家として協力を求められたことがきっかけでガラスに転向する。その後ジュレズニー・ブロド・グラスワークスにガラス・アーティストとして1971 年まで勤務。以後、ガラス作家として活動を始め、ヨーロッパを中心に展覧会を行ってきた。彫刻的な空間の認識と造形を重視しつつも、素材との対話から生み出される唯一無二な表現を実現させている。

アニッシュ・カプーア《物体としての空間》2000
アクリル、(台座:鉄)
H63.2×W59.6×D60.5cm(台座:H82.5×W59.5×D59.5cm)
© Anish KAPOOR

アニッシュ・カプーア Anish KAPOOR

1954年ボンベイ(インド)生まれ、ロンドン(英国)在住。幼少期をインドで過ごした後、17 才で渡英し、1970 年代より作品制作を始める。初期には、立体の表面を顔料で覆う作品を多く制作し、後に、岩盤のような床に切り込みや穴をあけ、内部を顔料で覆うことにより洞窟の入口や大地の亀裂を思わせる造形物を作るようになる。また、ステンレス・スチール、漆といった素材、蒸気そのものを作品に取り入れるなど、多様な表現を展開してきた。これらの作品は、常に我々の視覚や日常的な認識の再考を促す。次元を越えて生み出される未知なる世界像には、人間存在、生命へのカプーア独自の眼差しが写し出されている。

小島久弥《男は海水のなかをダイビングしている》(部分)1995
海水、二酸化炭素、フィギュア、ワイングラス、望遠鏡
H23×W11×D11cm
© KOJIMA Hisaya
photo: NAKAMICHI Atsushi / Nacása & Partners

小島久弥 KOJIMA Hisaya

1957年 愛知県名古屋市(日本)生まれ、同地在住。実際の風景を借景として取り込む彫刻や、部屋全体の物を左右対称に置くことでその部屋のセンターラインに存在しない鏡を擬似的に創りだすようなインスタレーションなど、小島久弥は、現実と虚構が交差する世界を作品として提示する。現実と虚構が一致する地点を、作家は「クリティカル・ポイント」(臨界点)と名付け、多様な表現手段を用いて探求し続けている。

ルイザ・ランブリ《無題(O 資料館d)》2000
イルフォクローム・プリント
H110×W155cm
© Luisa LAMBRI

ルイザ・ランブリ Luisa LAMBRI

1969年、コモ(イタリア)生まれ、ミラノ(イタリア)在住。ジョゼッペ・テラーニ、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエそしてSANAAなどの手がけた近代建築の内部を被写体にして、特にその細部(主に窓や扉などの開口部)に注視した写真や映像で知られる。白を基調とした静的かつ中性的な空間を切り取るミニマリズム/タイポロジー的作風ながら、その作品は建築写真と言うよりは私的な瞬間や体験を留めたポートレイトのようであり、一方でその建築の機能、特に風景を切り取る装置としての在り方を窺わせるものとなっている。

楢原寛子《Soul》2000
ガラス
H14.5×W88×D6cm
© NARAHARA Hiroko

楢原寛子 NARAHARA Hiroko

1979年広島県竹原市(日本)生まれ、同地在住。倉敷芸術科学大学芸術学部工芸科に入学後、ガラスの制作を始める。大学2年の時に、型に入れたガラスの塊と粉末を加熱により融合させ、透明部分と半透明部分を混在させる技法を考案する。これが後の制作に決定的な影響を与え、大学4年時に制作した《Soul》は2001年世界工芸コンペティション・金沢にて最優秀賞を受賞。ガラスとコンクリートを組み合わせた作品も手がけている。

宮永愛子《waiting for awakening - chair》 2012
ナフタリン、樹脂、ミクストメディア
H110×W67.9×D55.8cm
© MIYANAGA Aiko
photo: SAIKI Taku

宮永愛子 Aiko Miyanaga

1974年京都市生まれ。現在、東京在住。京都造形芸術大学美術学部彫刻コース卒業後、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻に進み、2008年に修士課程修了。2011年に若手芸術家第22回五島記念文化賞美術新人賞、2013年には日産アートアワードを受賞、若い世代を代表する現代美術作家として活躍が期待されている。時間や記憶についての省察をナフタリンや塩といった素材を使ったオブジェで表現し、昇華や蒸発といった自然の変化を巧みに取り入れることで視覚化する作品で知られる。

嵯峨 篤《MUMI / 013-018》2004
ウレタン塗装、アクリルラッカー/ MDF
各H88×W88×D2.7cm
© SAGA Atsushi
photo: SAIKI Taku

嵯峨 篤 SAGA Atsushi

1970年東京都(日本)生まれ、埼玉県(日本)在住。多摩美術大学美術学部絵画科を卒業後は、家具を主題とした彫刻作品を発表。2004 年からは、白一色(に限りなく見える)の「MUMI」シリーズを開始。独自の塗装と研磨の技術によって、硬質な輝きを帯びるパネル表面に、家具のイメージを密かに塗り込め、見る者の知覚を問うような緊張感に満ちた作品を展開した。2005から06年当館が開催した「もうひとつの楽園」展では、展示室の壁面を磨き上げ、そこから放たれる空気感をも取り込むような作品を発表し注目を集めた。

妹島和世+西沢立衛 / SANAA《無重力性と透明性》2002
アクリル
H260×φ430cm
© Kazuyo Sejima + Ryue Nishizawa / SANAA

妹島和世+西沢立衛 / SANAA Kazuyo SEJIMA + Ryue NISHIZAWA / SANAA

妹島和世:1956年茨城県(日本)生まれ、東京都(日本)在住。西沢立衛:1966年神奈川県(日本)生まれ、東京都(日本)在住。建築家ユニットとして1995年より活動開始。妹島は1992 年より、西沢は1997 年より単独の設計事務所でも設計を行っているが、1995 年以降SANAAの名称で多くの共同設計を行う。ガラスや白い壁面を多く用い、装飾や建築的な形体を極力排した、抽象的でシンプルな空間デザインを特徴とする。金沢21世紀美術館、ニューヨークのニューミュージアム、ランスのルーブル美術館分館など、美術館の設計も多い。

※交流ゾーンにて公開

田中信行《触生の記憶》2003
漆、麻布(乾漆)
H21×W96×D77.5cm
© TANAKA Nobuyuki
photo: SAIKI Taku

田中信行 TANAKA Nobuyuki

1959年東京都(日本)生まれ、石川県金沢市(日本)在住。東京藝術大学および同大学院で漆を学ぶ。1980 年代後半は、麻布のテクスチャーを残した平面作品を制作していたが、90 年代に入り、乾漆による立体作品を制作。盾状の立体に地の粉を塗り、複雑な凹凸を残して仕上げることで漆の魅力を引き出す作品や、表面を鏡のように磨き上げる作品を同時に展開してきた。2002 年頃から、「場」に即し、観る者の身体感覚と建築空間との両者に働きかける作品も手がけている。

照屋勇賢《告知-森:アスター・プレイス、NYC》(部分) 2011
紙、糊
H18×W29×D12 cm、H18×W29×D12 cm、H17.5×W27.5×D12 cm
© TERUYA Yuken
photo: SAIKI Taku

照屋勇賢 TERUYA Yuken

1973 年沖縄県(日本)生まれ、ニューヨーク(米国)在住。1996年多摩美術大学油絵科を卒業後、1999年メリーランド・インスティテュート・カレッジ・オブ・アートを経て、2001 年スクール・オブ・ビジュアル・アーツMFAプログラムを修了した。2002 年にVOCA展奨励賞とオールドリッチ現代美術館新人作家賞を受賞。歴史やアイデンティティといった問題意識を独自の視点で軽やかに表現する。特に生まれた地、沖縄の複雑な事情は、物事の事情や事象を一面でのみ捉えることはできないという、照屋の表現に多大な影響を与えている。

塚田美登里《Colony》2002
ガラス、銅
H12×W54×D47cm
© TSUKADA Midori

塚田美登里 TSUKADA Midori

1972年岐阜県(日本)生まれ、石川県(日本)に在住。国立高岡短期大学で鋳金を学んだ後、能登島ガラス工房、アメリカのピルチャック・グラス・スクール、富山ガラス造形研究所、金沢卯辰山工芸工房などでガラスを学んだ。塚田はキャストやブロー、カットなどガラスの技法を組み合わせながら、自然現象の運動性や細胞の連続性を想起させる作品を制作する。近年では、ガラスに金属を加える手法により、異素材どうしがぶつかり合い融合する生成の過程に着目した造形を手がけている。

ヤノベケンジ《タンキング・マシーン》1990
生理食塩水、鉄、プロパンボンベ、防毒マスク、ゴム、他
H212×W227×D248cm
© YANOBE Kenji

ヤノベケンジ YANOBE Kenji

1965年大阪府茨木市(日本)生まれ、京都府亀岡市(日本)在住。鉄など様々な素材を使って立体作品を制作するアーティスト。原体験として日本万国博覧会(1970年)を持つ。それは、心躍らされる「未来」であったが、会期終了後はその未来の「廃墟」となった。人が抱く「夢」と、その「実現」との間にある断絶。両者の間で葛藤しながらいかにサバイバルするかということを制作のテーマとしている。近年はリバイバルをテーマに掲げ、「廃墟」からの再生を追求する。

ヴラディミール・ズビニオヴスキー《石の精神》2001
光学ガラス、石
H27×W45×D24cm
© Vladimir ZBYNOVSKY

ヴラディミール・ズビニオヴスキー Vladimir ZBYNOVSKY

1964年ヴラティスラヴァ(スロヴァキア)生まれ、ヴェルヌイユ・アラット(フランス)在住。1993 年にフランスへ移住して以来、主に石とガラスを融合させた彫刻作品を制作している。キャスティングの技法で作り出したガラスの塊の一部を切断、研磨したものと、集めてきた石とを組み合わせて、緊張感に満ちた作品を生み出してきた。どちらの素材ともその由来は地球の生成と関わりがあり、大地のエネルギーを内部に秘めていると言える。ズビニオヴスキーの制作行為は、人間の創造行為と自然の生成過程を相対させつつ、両者の内部に潜む性質を浮き上がらせようとするものである。

主催/ほか

主催:
金沢21世紀美術館 [公益財団法人金沢芸術創造財団]