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金沢21世紀美術館

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EVENTイベント

映画の極意 vol.18

バイオ・バロック:「生命の変容」をめぐる映画祭

2017年11月17日(金) -
2017年11月19日(日)

当日券販売

インフォメーション

期間:
2017年11月17日(金)〜2017年11月19日(日)
会場:
金沢21世紀美術館 シアター21
定員:
110席(全席指定)
料金:
●1回鑑賞券 A
・『クレマスター1』
・『クレマスター4』
・『クレマスター5』
・ピエール・ユイグ『短編作品選』
・『STOP』
各回 一般 1,000円/友の会 900円

●1回鑑賞券 B
・サスキア・オルドウォーバース『全作品上映』
・『クレマスター2』
・『拘束のドローイング9』
・『The Host and The Cloud』
・やくしまるえつこ『映像作品選』
各回 一般 1,500円/友の会 1,350円

●1回鑑賞券 C
『クレマスター3』
一般 1,900円/友の会 1,700円

●セット券
マシュー・バーニー全作品鑑賞券(限定15枚)
一般 6,000円/友の会 5,400円

●3日間フリーパス(限定15枚)
一般 8,000円/友の会 7,200円

※友の会会員の方は入場時に要会員証提示。
※セット券、フリーパスは前売りのみの販売となります。
※前売券で定員に達した場合は、当日券の販売はありません。
チケット取扱:
前売券の販売は終了しました。当日券は各回30分前よりシアター21前にて販売します。
託児サービス:
有料・要申込(TEL 076-220-2815)
※未就学児の入場はご遠慮願います。託児サービスをご利用下さい。
お問い合わせ:
金沢21世紀美術館 交流課
TEL 076-220-2811

概要

今回は、「バイオ・バロック(生命の過剰さと歪み)」をテーマに、現代アートで国際的に活躍する3作家の映像表現に焦点を当てます。当館所蔵作家で世界的な評価を得るマシュー・バーニーの、国内では近年公開されていない『クレマスター』サイクル全5作一挙上映を行なうほか、緻密に練り上げられたSF的な物語と実写とは思えないまでの映像表現でカルト的な人気を誇るサスキア・オルドウォーバースの国内初の全作品上映、国際的な評価が高まるピエール・ユイグの実験的な映像作品などをまとめて紹介します。また、金沢21世紀美術館で開催中の「コレクション展2『死なない命』」と関連させて、福島の問題を取り上げて国際的な物議を醸したキム・ギドク『STOP』、同展でDNA音楽《わたしは人類》を出品中のやくしまるえつこの映像作品の特別上映も行います。この貴重な機会をぜひお見逃しなく!

映画の極意シリーズとは?

「映画の極意」シリーズは、金沢21世紀美術館シアター21を会場に、政治、社会、哲学、生と死、消費文化、人間の不条理、遊び、時代と娯楽、映像美といったテーマごとにセレクトした作品の上映を行う企画です。

上映スケジュール

11/17(金)
19:00〜21:00 サスキア・オルドウォーバース
最新作、日本未公開作を含む全9作品の上映(1999-2017 / 120分)

11/18(土)
10:00〜10:40 マシュー・バーニー 『クレマスター1』(40分)
10:55〜12:14 マシュー・バーニー 『クレマスター2』(79分)
13:15〜16:32 マシュー・バーニー 『クレマスター3』(182分)※途中15分の休憩
16:50〜17:32 マシュー・バーニー 『クレマスター4』(42分)
17:50〜18:44 マシュー・バーニー 『クレマスター5』(54分)
19:10〜21:25 マシュー・バーニー 『拘束のドローイング9』(135分)

11/19(日)
10:00〜11:30 ピエール・ユイグ『短編作品選』(1999-2014 / 全5作品 / 75分)
12:45〜14:47 ピエール・ユイグ『The Host and The Cloud』(2009-2010 / 122分)
15:05〜16:37 キム・ギドク『STOP』(2015 / 82分)
17:00〜19:00 やくしまるえつこ『映像作品選』(2008-2017 / 120分 / わたしは人類」ライブ映像を含む)

※開場時間は上映開始の15分前
※都合により上映内容など変更になる場合がございます。

サスキア・オルドウォーバーズ

1971年オランダ生まれ。2003年にバロイーズ賞、2004年にベックス・フューチャー賞を受賞。サスキア・オルドウォーバースは1990年中頃から映像作品を制作し始め、イギリスのみならず各国の美術館、ギャラリー、公共の場などで展示されてきた。サスキアはこれまでに12の映像作品と、3つのパブリックアートを制作しているが、非常にユニークな制作方法を用いるため、各作品の制作には平均して1〜2年という長い時間がかけられている。彼女は最初に精巧なミニチュアセットを手作業ででつくり、次に造り上げたその環境の中で撮影しながら、物語を生み出し、不思議な透明性を持つ映像をつくりあげる。無機的な風景は人間性の虚無そのものを暗示するが、複雑な物語が語られることで、観客は主人公と自身の姿を重ね合わせることになる。物語は悲劇的で奇妙だが、日々の生活の現実味に裏付けられているため、みる者の心に、現実の世界でもこのようなことが起こりうるかもしれないと思わせる力を持っている。今回、サスキアの9つの代表作が日本で初めて一挙に上映される。

Yes,These Eyes are the Windows 2015
Voice over Torn Brooke
18 min HD video for projection

全作品上映

11/17(金) 19:00〜
1999年-2017 / オランダ / 120分

全9作品:
『Day-Glo』(1999)
『Kilowatt Dynasty』(2000)
『Placebo』(2002)
『Interloper』(2003)
『Trailer』(2005)
『Deadline』(2007)
『Pareidolia』(2011)
『Yes, These Eyes are the Windows』(2015)
『Pfui – Pish, Pshaw / Prr』(2017)

マシュー・バーニー

1967年サンフランシスコ生まれ。ニューヨーク在住。高校時代はアメフト選手。イェール大学では医学部の予科に在籍し、体育学や美術も学ぶ。1993年ヴェネチア・ビエンナーレのアペルト部門「ヨーロッパ2000」賞、1996年グッケンハイム美術館の「ヒューゴ・ボス」賞など受賞多数。身体に負荷をかけて素描するパフォーマンス「拘束のドローイング」を続ける中、記録映像にフィクション的な要素を加えたビデオ作品に行き着く。1994年から2002年までの8年で断続的に『クレマスター』シリーズを発表。2005年ビョークと協働した『拘束のドローイング9』を発表し、金沢21世紀美術館での個展「マシュー・バーニー:拘束のドローイング」でプレミア公開している。

クレマスター 全作とも
脚本・監督:マシュー・バーニー

制作:バーバラ・グラッドストーン、マシュー・バーニー

音楽:ジョナサン・ベプラー

『クレマスター4』のみ
制作:アルタンジェル、カルティエ財団、バーバラ・グラッドストーン
プロデューサー:マシュー・バーニー、ジェームズ・リングウッド

公式サイト(英語)

CREMASTER 1,1995
Photo Michael James O`Brien
©Matthew Barney,courtesy Gladstone
Gallery,New York and Brussels

『クレマスター1』

11/18(土) 10:00〜
1995年 / アメリカ / 40分
出演:マーティー・ドミネーション

マシュー・バーニーが育った地、アイダホ州ボイシ。アメフト用のスタジアムでは、ラインダンスが繰り広げられている。上空にはグッドイヤーの飛行船が2つ浮かぶ。その中にいる巨大な女性の名も「グッドイヤー」だ。やがて、彼女は何かを形づくるが……。ハリウッド・ミュージカル風に仕立てた短編作品。

CREMASTER 2,1999
Photo Michael James O`Brien
©Matthew Barney,courtesy Gladstone
Gallery,New York and Brussels

『クレマスター2』

11/18(土) 10:55〜
1999年 / アメリカ / 79分
出演:マシュー・バーニー、ノーマン・メイラー(小説家)

ユタ州ソルトレイク。ロッキー山脈の麓にある小さな街は、大多数がモルモン教徒。そこにマシュー・バーニー演じるゲイリー・ギルモアが登場。仮釈放中の身ながら、発砲し……。そんな死刑囚の人生を小説にしたノーマン・メイラーが奇術師役で出演。蜂の生態を絡めたゴシック・ホラー調の作品。

CREMASTER 3,2002
Photo Chris Winget
©Matthew Barney,courtesy Gladstone
Gallery,New York and Brussels

『クレマスター3』

11/18(土) 13:15〜
2002年 / アメリカ / 182分(途中休憩15分)
出演:マシュー・バーニー、リチャード・セラ(彫刻家)、エミー・マランス(モデル・アスリート)

マンハッタンが舞台。2部構成で、前半はフリーメイソンの見習いが高みを目指して、クライスラー・ビルのエレベーターを登る。後半はフランク・ロイド・ライト設計のグッゲンハイム美術館で、マシュー・バーニーが壁面をクライミング。豹の姿をした義足のアスリート、エミー・マランスと対峙する。『クレマスター』各作の要素をちりばめた超大作。

CREMASTER 4,1994
Photo MIchael James O`Brien
©Matthew Barney,courtesy Gladstone
Gallery,New York and Brussels

『クレマスター4』

11/18(土) 17:00〜
1994年 / アメリカ / 42分
出演:マシュー・バーニー

アイリッシュ海に浮かぶマン島。その外周を使うオートバイの「TTレース」で知られる。レースの再現かと思いきや、ブルーとイエローのサイドカーは逆方向に走り出してしまう。一方、桟橋の家では、マシュー・バーニー演じる未熟なラクトンが踊っている。すると、床が抜け……。記念すべきシリーズ第一作。

CREMASTER 5,1997
Photo MIchael James O`Brien
©Matthew Barney,courtesy Gladstone
Gallery,New York and Brussels

『クレマスター5』

11/18(土) 18:00〜
1997年 / アメリカ / 54分
出演:マシュー・バーニー(1人3役)、ウルスラ・アンドレス(『007ドクター・ノオ』)

ハンガリー・ブダペスト。脱出の名人、ハリー・フーディーニの故郷である。金色のオペラ座では「鎖の女王」が奇術師へ想いを歌い始める。演じるのは、ボンドガールの女優、ウルスラ・アンドレス。突然、白いジャコバン鳩が飛び立ち、足元には両性具有の妖精が戯れる世界が……。オペラ映画風の短編作品。

DRAWING RESTRAINT 9
©2005 Production Photo:Chris Winget
Courtesy Gladstone Gallery,New York and Brussels

『拘束のドローイング9』

11/18(土) 19:10〜
2005年 / アメリカ / 135分
脚本・監督:マシュー・バーニー
制作:バーバラ・グラッドストーン
音楽:ビョーク
出演:マシュー・バーニー、ビョーク

舞台は日本。ある石油精製所で阿波踊りの隊列に先導されたタンクローリーが、伝説の捕鯨船「日新丸」の脇に停まる。タンクの液体は船上にある巨大な鋳型に流し込まれ、船が南極に向けて航行する中、“フィールド・エンブレム”の形を成してゆく。そこへ、遙かかなた別々の地から運ばれた男女ふたりの西洋の客人(マシュー・バーニー、ビョーク)が辿り着く。身を清め、毛皮の婚礼衣装をまとい、貝の柱が立つ船内の茶室に導かれた男女は、奇妙な器で茶を一服するうちに恋に落ちていく。

ピエール・ユイグ

1962年フランス生まれ。現在パリおよびニューヨークを拠点として制作活動。 1990 年代から、映画の構造を利用してフィクションと現実の関係を探る映像作品や、美術館、展覧会、近代建築、あるいは著作権や祭事などに潜む制度に注目したプロジェクトを発表。2001年第49回「ヴェネチア・ビエンナーレ」にて審査員賞を、2002年グッゲンハイム美術館の「ヒューゴ・ボス」賞を受賞。2013年にはパリのポンピドゥー・センターを皮切りに一大巡回個展「Pierre Huyghe」がドイツ、アメリカを巡回など、現代美術の開拓者/越境者として国際的に極めて高い評価を受けている。

Pierre Huyghe
One Million Kingdoms,2001
Animated film,approximately 6 minutes
Courtesy of the artist and the Marian Goodman Gallery,
New York

『短編作品選』

11/19(日) 10:00〜
1999-2014 / フランス / 75分

世界的に話題を呼んだプロジェクト「NO GHOST JUST A SHELL」の初期作品から3.11以後の福島を主題にして大きな議論を生んだ『Human Mask』まで代表的な短編5作をまとめて上映。

The Host and The Cloud,2009-10,France.
Directed by Pierre Huyghe/
Courtesy Marian Goodman Gallery.

『The Host and The Cloud』

11/19(日) 12:45〜
2009-2010 / フランス / 122分

明確なストーリーを持たない2時間超の映像作品。 本作品はパリ市内の郷土博物館(現在は閉鎖)にて、ハロウィーン、バレンタインデーそしてメーデーの3日間にわたり撮影された。超現実的な裁判の情景、有名モデルによる美術館でのキャットウォーク、催眠療法を受ける患者と医師との会話、マクドナルドのキャラクターに扮した女性のダンス、館内を歩き回る裸の女性と子供といった多彩な情景や登場人物が、錯綜する複数の時間の中で一見脈絡なく映し出される。公開当時、「主題なき心象への旅」とも評された本作は、ユイグ以降の偶発性を主題とする物語なき映像作品を読み解く手がかりが隠された、巨大な迷宮のような存在と言える。

キム・ギドク

1960年韓国生まれ。映画監督、脚本家、映画プロデューサー。2003年、『春夏秋冬そして春』で韓国映画界最高の栄誉である大鐘賞と青龍賞受賞。2004年、『サマリア』で第54回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 、『うつせみ』が第61回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞受賞。2012年「嘆きのピエタ」でヴェネチア国際映画祭金獅子賞。

©Kim Ki-duk,2015.

『STOP』

11/19(日) 15:05〜
2015 / 韓国=日本 / 82分
監督:キム・ギドク 
出演:中江翼 堀夏子 武田裕光 田代大悟 藤野大輝 合アレン

2012年「嘆きのピエタ」でヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いたキム・ギドクが、東日本大震災を題材に日本で撮影した作品。東日本大震災に伴う福島第一原発事故をきっかけに、東京に移住した若い夫婦。だが、妻はお腹の子に対する放射能の影響に不安を抱き……。世界各国の映画祭で物議を醸し、 あまりの衝撃に上映困難とされた問題作が遂にベールを脱ぐ。

やくしまるえつこ

音楽家として「相対性理論」など数々のプロジェクトを手がけるほか、絵画やメディアアート作品の制作、楽曲提供やプロデュース、文章と多岐にわたる活動を行う。バイオテクノロジーや人工衛星、生体データを用いた作品、人工知能と自身の声による歌生成ロボットや独自のVRシステム、SMAPらへの楽曲提供やセーラームーンの主題歌までジャンルレスに活躍。近年の活動に、相対性理論×Jeff Mills「スペクトル」(2015)、相対性理論「天声ジングル」(2016)、「わたしは人類」(2016)など。2017年、「わたしは人類」でメディアアートの世界最大の祭典アルス・エレクトロニカで科学・芸術・テクノロジーを横断する革新的なプロジェクトに対して与えられるSTRATS PRIZEのグランプリを受賞。

相対性理論「ケルベロス」

『映像作品選』

11/19(日) 17:00〜

やくしまるえつこの遺伝子音楽作品《わたしは人類》が展示されている金沢21世紀美術館コレクション展2「死なない命」に関連して、黒沢清や富永昌敬といった実力派映画監督からメディアアーティストの真鍋大度まで、幅広いクリエイターが携わってきた、相対性理論とやくしまるえつこの独自の映像世界を、映画館の大画面と音響で一挙上映。

主催/ほか

主催:
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
提供:
トモ・スズキ・ジャパン、Marian Goodman Gallery、TARO NASU、みらいレコーズ、Kim Kiduk Film/Allen Ai Film
協力:
Japan Society (New York)
後援:
在日 アメリカ合衆国 大使館