アペルト19 森本啓太 what has escaped us

2025年5月20日(火) - 2025年10月5日(日)

インフォメーション

期間:

2025年5月20日(火) - 2025年10月5日(日)

会場:

金沢21世紀美術館 長期インスタレーションルーム

休場日:

月曜日(ただし7月21日、8月11日、9月15日は開場)7月22日、8月12日、9月16日

お問い合わせ:

金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

森本啓太(1990-)は16歳でカナダへ移住し、同国を中心に海外で作品を発表してきました。あえて古典的な絵画技法を学ぶことを選んだ森本は、現代の都市風景を特異な表現で描き出し、観る者に強い印象を残します。森本は、近代以降、絵画にとって重要な問題であり続けている「光」の表現に強い関心を持ち、街灯や看板、自動販売機など人工の光を描き込むことで、画面に叙情的な雰囲気を与えています。また、森本は、個別に撮影された人物と風景の写真からコラージュを作成し、画面上に絵具で再構成するという手法をとることで、人物と風景に一種の匿名性を与えています。作品に描かれる空間や人物は、どこにでもありそうでいて、実際にはどこにも存在しない虚実の境界線上にあります。鑑賞者の記憶や想像力の入り込む余地が残されたその作品画面に、人々は引き込まれるのです。
森本の作品は、自身が影響を受けたと公言しているエドワード・ホッパーやピーター・ドイグらの系譜に連なるもので、現代の都市はどのように描かれうるか、という試みを我々は目の当たりにします。現実と虚構が曖昧になる、どこかで見たような風景と人々を前にして、我々はそこに自身の心情や記憶を重ね合わせるのです。本展は、森本の作品を通じて、鑑賞者一人ひとりが自らの現実や日常を今一度問い直す機会となり、絵画という表現形式がもつ力について改めて考える場となるでしょう。

作家プロフィール

  • 森本啓太 Keita Morimoto

    1990年大阪生まれ。
    2006年にカナダへ移住し、2012年オンタリオ州立芸術 大学(現・OCAD大学)を卒業。 カナダで活動したのち、2021年日本に帰国。現在は東京を拠点としている。バロック絵画や20世紀初頭のアメリカン・リアリズム、そして古典的な風俗画の技法やテーマに強い関心をもち学んできた森本は、これらの伝統を参照し、ありきたりな現代の都市生活のワンシーンを特別な物語へと変貌させる。象徴的に「光」を描くことによって、その神聖で普遍的な性質を消費文化の厳しい現実と融合させ、歴史のもつ深みと現代的な複雑さが共鳴する作品を生み出している。 森本の作品は、トロント・カナダ現代美術館、K11 MUSEA、宝龍美術館、Art Gallery of Peterborough、The Power Plant Contemporary Art Gallery、フォートウェイン美術館などで展示されてきた。他にコレクションとして、 滋賀県立美術館、アーツ前橋、ハイ美術館(アメリカ)、Fondazione Sandretto Re Rebaudengo(イタリア)、マイアミ現代美術館(アメリカ)がある。

「アペルト」シリーズとは

  • 「アペルト」は、若手作家を中心に個展形式で紹介する展覧会のシリーズです。 金沢21世紀美術館は世界の「現在(いま)」とともに生きる美術館として、今まさに起こりつつある新しい動向に目を向けています。作家とキュレーターが作品発表の機会を共に創出し、未来の創造への橋渡しをします。国籍や表現方法を問わず、個展開催に十分な制作意欲を持ち、アペルト実施以後のさらなる飛躍が期待できる作家を紹介していくものです。
    ※「アペルト(aperto)」は、イタリア語で『開くこと』の意味。

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主催:

金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]

後援:

北國新聞社