ワークショップ「足元から見つめる未来」

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金沢21世紀美術館は地元大学との連携活動の一環として、2014年度からインターンシップ(実地研修)を行っています。
これは今後の美術活動を担う人材を育成する機会であり、大学院で専門分野の研究や知識を深めている学生にとっては「学びの実践の場」でもあります。
 
今年度は、金沢美術工芸大学と金沢大学の各大学院から合計5名の学生を受け入れました。
そのうちの、美大修士1年の佐藤文さんと金大修士1年の野村将之さんが企画したのがワークショップ「足元から見つめる未来」(2017年1月21日、キッズスタジオにて開催)です。
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参加者は、まず、職人さんに教わりながら「わらじ」を作ります。
編み込んだソールの部分はニットのようです。
 
次に、自分で作ったわらじを履いて、展覧会「工芸とデザインの境目」に展示されているわらじを見に行きます。
そして、自分が作ることで感じた、わらじの素材や形に込められた「工芸性」や「デザインとの境目」について、みんなで話し合いました。
 
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「今日、自分が作ったわらじはデザインか?工芸か?」という問いがインターン生から投げられると、参加者の意見は工芸派とデザイン派で綺麗に二分されました。
 
工芸派からは
「昔ながらの作り方を踏襲しているから」
「習ったばかりの自分が作ったものにデザイン性があるとは思えない」
「同じものを作り続けることがデザインで、もし自分の作ったものが【量産品】としてお店で売られていたら【ハズレだな】と思う」
 
デザイン派は
「自分の足に合わせてつくったせいか、右足と左足で形が違う」
「これを履くのではなく、飾ることしか考えていないから、見た目を意識して片方だけ作った」
「工芸品は見た目の完成度を重視されると思う。自分のわらじは自分流のアレンジを加えたのでデザインである」
といった意見があがりました。
 
デザインも工芸も、要求されるのは緻密な完成度なので、自分が作ったものはどちらとも言えない......という方もいました。
 
工芸とデザインに対する各自の考え方の違いが見えてきて面白いですよね。
今回わらじ作りに参加したみなさんには、工芸とデザインの境界を越えた先にどのような「未来」が見えたのでしょうか。
 
 
広報室

*内容の一部は、ワークショップ記録係担当者に取材して作成しました。