展覽會/活動2020
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チェルフィッチュ × 金氏徹平
消しゴム森
2020年2月7日(金) - 2020年2月16日(日)
『消しゴム山』(劇場版)と『消しゴム森』(美術館版)は、演劇作家・岡田利規が、2017年、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市を訪れ、津波被害を防ぐ高台の造成工事で変わってしまった風景を見たことに始まります。嵩上げのための土砂は周辺の山を削り取って賄われているため、かつてあった風景は驚異的な速度で変貌し、岡田は、もはや人間的な尺度を大きく逸脱するものだったと言います。度重なる環境の変化に向き合う人間中心主義に対しての疑いをもって、チェルフィッチュの新作の構想は全く新しい考え方に基づく「演劇」に発展していったのです。そもそも、そうした自然の作り変えをする人間は環境の一部であるにもかかわらず、対立するかのような関係にあると考えていることこそ疑うべきなのでないか。これを演劇に援用すれば、観客は舞台上で展開される話や役者に向き合うというより、その場に存在する環境の一部でしかないのではないか。舞台美術と呼ばれるものでさえ、観客との関係においては上下左右のない、等価に存在しているのでないか。人間中心主義ではない、環境に対する演劇を構想し、そして、それを実験してみようということですから、『消しゴム森』はいろいろな意味で、いわゆる一般的な「演劇」とは大いに異なるのです。岡田利規のこうした投げかけに応えるのは、1997年から主宰する劇団チェルフィッチュとセノグラフィーの金氏徹平です。金氏徹平は空間における物や人の存在と関係について、これまでも岡田と共に実験を繰り返してきています。 『消しゴム山』は、逃げ場のない舞台空間で流れる時間に従って進行していきましたが、金沢21世紀美術館のギャラリースペースでの公演『消しゴム森』では、観客が空間と時間を自由に選択することができます。どこから、どの順で、どこまで観ればいいのかと考えている「あなた」も『消しゴム森』の一部となるので、もはや観客とすらいうこともできないかもしれません。 『消しゴム山』と『消しゴム森』には岡田利規の「映像演劇」の手法も取り入れられています。「映像演劇」とは、舞台映像デザイナーの山田晋平とともに取り組み始めた新しい形式の演劇であり、演じている映像を観る人々が現実とフィクションの間で揺れ動く、曖昧さを創出するものです。 どうぞ、時間の許す限り『消しゴム森』の一部となって壮大な実験にお立ち会いいただき、「演劇」の定義を大幅に更新していくチェルフィッチュ、岡田利規、金氏徹平による新作をお楽しみください。 黒澤浩美(チーフ・キュレーター)
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開館15周年記念
現在地:未来の地図を描くために[2]後期
2020年2月4日(火) - 2020年4月12日(日)
当館は開館15周年を迎え、コレクション収集を開始した開館前の2000年から20年の間に約3,880件に上る作品を収蔵するに至りました。その間、社会の状況は目まぐるしく変化し、コレクション作品もその時代の空気を鋭く読み取る作品が増えていきました。本展では、改めてコレクション作品を見直す中で、多様化、複雑化する現代において自分たちの現在地がどこにあるのかを見据え、未来に向けてどのような地図が描けるのかを考えます。
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lab.4 Space Syntax
2019年10月12日(土) - 2020年6月14日(日)
私たちは「空間」の中に生きています。さまざまな方法で私たちは空間を認知し、一方で空間が変われば私たちの行動も変わります。つまり空間のレイアウトと人間の行動とは深く関係していると言えます。その関係を解き明かす鍵は一体どこにあるのでしょうか。lab.シリーズの第4回となる本展では、「つながり」や「関係性」という視点から分析や調査を進め、この鍵の在りかを探ります。 そのキーワードとなるのが〈Space Syntax〉です。Space(空間)と、Syntax(言語学における統語論=語と語の関係をもとに意味を導く仕組み)を組み合わせたこの言葉は、1970年代にロンドン大学バートレット校(建築学・都市計画学)のビル・ヒリアー教授が提唱した理論名であり、またその実践に取り組む法人の商標でもあります。空間レイアウトの分析に科学的なアプローチを採り入れ、人間の認知や行動との関係を考察する〈Space Syntax〉の理論と実践は、近年、都市・建築空間デザインの新たな手法として注目されています。 本展は、こうした〈Space Syntax〉の理論と実践を紹介しつつ、会期中を通して金沢21世紀美術館の館内で二つの調査・分析を展開していきます。一つ目は室内行動調査です。機械学習など新しいテクノロジーを用いた映像解析手法を導入し、館内の通路を行き交う人がどのような動線をたどるのか、いつどこで立ち止まり座るのかを観察し、空間レイアウトと人間の認知・行動との関係を分析します。二つ目は当館の展覧会ゾーンを調査の対象とし、来場者の動線調査を行います。この美術館が持つ空間レイアウトの特性を分析し、そのポテンシャルを掘り起こすことで、金沢21世紀美術館の新しい可能性を探ります。 こうした調査活動は、lab.1 OTON GLASSやlab.2 Sightでも活躍したリサーチサポーターの協力を得て進められ、本展の会場となるデザインギャラリーに集積・更新されていきます。ガラスで覆われた透明のlab.に、空間レイアウトと人間行動との関係を解き明かす鍵が見つかるかもしれません。
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