ガブリエル・オロスコ
Gabriel Orozco
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1962年、ヴェラクル ーズ(メキシコ)生まれ。メキシコとマドリッドの美術学校で学ぶ。ニューヨーク近代美術館プロジェクト(1993年)、アムステルダム市立美術館(1997年)、パリ市近代美術館(1998年)など、世界の主要な美術館において個展多数開催。第10回、第11回ドクメンタ(1997年、2002年)、第1回横浜トリエンナーレ(2001年)などに出品。メキシコシティ、ニューヨーク在住。
写真、ドローイング、オブジェ彫刻など、手掛ける形式は多岐にわたるが、その多くは、既存のものや偶然見つけたものに手を加え、変形し、作品としていく「インターヴェンショニズム(介入主義)」という方法が取られている。新聞やスポーツ雑誌から取ってきた写真に幾何学的なパターンを重ねたり、水たまりの水で地面に円を描いて写真に写したり、天井に付いている扇風機にロールのトイレットペーパーを組み合わせたり、ビリアード台やピンポン台などの遊具を変形させたりするなど、彼が素材とするのは日常的なものばかりである。初期に数学を学び、建築にも造詣の深い彼の関心は、「宇宙の秩序にささやかでも波風を立てたい」と語るように、こうした日常的なものに手を加えることによって、世界を彼独特のパターンによる構造、美学で捉え直し、再構築していくことにある。


≪怖れるな≫ Fear Not
写真と型紙を使ったプリント、吊り下げ作品から構成されるインスタレーション。もともと一つのインスタレーションの素材として制作されたものではなく、それぞれにタイトルがついているが、2001年にニューヨークのマリアン・グッドマン画廊で行われた個展に際し、インスタレーションとして構成された。特にシリーズとしての共通テーマはないが、どれも日常的な状況で、作家独特の幾何学的な発想によって、わずかな介入を行ったり、独特のパターンを発見したりするという点では共通している。例えば、≪東京の雨≫は、単体で見るとただの雨に濡れた自転車のかごとしか認識できないが、それが≪フェンスの中の石≫と併置されることで、自転車のかごの編み目に不規則につく水滴とその並び方に、オロスコが着目していることがわかる。「写真に撮る」、「それを併置する」というだけの行為によって、何でもない光景から、そこに潜むランダムなパターンが立ち現れる。
≪フェンスの中の石≫ 1989
≪ペンスキー・プロジェクト 1≫ 1998
≪ペンスキー・プロジェクト 2: 穴のある三角形≫ 1998
≪ペンスキー・プロジェクト 3≫ 1998
≪缶の覆い≫ 1998
≪ステンドグラス越しに≫ 2000
≪スターのキャップ≫ 2001
≪東京の雨≫ 2001
≪椅子の上の犬≫ 2001
素材等:チバクローム
サイズ:H31×W46cm
≪竹ボール≫ 2001
素材等:竹の葉、ゴムボール、綿糸
サイズ:半径60cm
≪カタガミ版画 1≫ 2001
≪カタガミ版画 2≫ 2001
≪カタガミ版画 3≫ 2001
≪カタガミ版画 4≫ 2001
≪カタガミ版画 5≫ 2001
≪カタガミ版画 6≫ 2001
≪カタガミ版画 7≫ 2001
素材等:アクリル絵具/紙、
サイズ:H33×W24cm
≪怖れるな≫ 2001
素材等:グラファイト、インク/紙
サイズ:H31×W23cm
≪巻かれたインク≫ 2001
素材等:アクリル絵具/紙
サイズ:H33×W24cm