トニー・クラッグ Tony Cragg
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1949年、リヴァプール(イギリス)生まれ 。1977年、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士修了。1988年、デュッセルドルフ芸術アカデミー教授就任、同年第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ、イギリス館代表、同年ターナー賞受賞。現在、ヴッパタール(ドイツ)在住。
拾い集めたプラスティックの断片を床や壁面に配置した作品でよく知られているが、初期の作品から一貫して、物と物の関係性への洞察が反映された作品を発表し続けている。その対象は人工物から自然界の物まで幅広く、無機質であっても有機質であっても、形態や機能に眼を向けることで深い繋がりを見つけ出す。部分が全体となり全体が部分となってしまうような生命体的感覚を物の配置によって表現したり、物に生じる機能としての使用価値や交換価値の増減に着目して人間と物との関係をテーマにしている。 近年はとくに生命の有機的な形をコンピュータで解析し立体化した彫刻を多く発表している。科学の進化、生命や宇宙、そして人間について、あらゆる物を連続して捉えて考えることを促してくれる作家である。


《何としても》 One Way or Another
平らな大理石が、右へ左へずれながら高く積み重ねられている。生命を持った柱が上へと伸びていく運動のようにもみえる。大理石という硬い素材が軽やかに自由な曲線を描いているだけではなく、水平方向の断面は幾何学的な円であるはずなのに、それがただ積み重ねられているだけで、動き出すかのような有機的形態を持っている。単純に物を重ねていくことで物事の基本的な構造を理解していこうとした最初期の作品と、近年の有機的な形態への関心から作られている作品の系列とを併せ持つ作品であるといえるだろう。

《私自身の》 My Own
自由に動き回る線によって有機的な形をつくりあげ、それを立体彫刻にした作品。つるりとした表面によって形態が強調され、視点が動くのにしたがって曲線の連続が運動をするかのようにみえる。多様な作品を制作してきているクラッグのなかでも、変化していく形の感触に関心を持ったことで、1993年に制作された《初めの形》の系譜を汲んでいるといえるだろう。幾何学的な形の組み合わせによって、有機的な形態を生み出していることと、樹脂のように自由に形を変えることができる化学素材を扱いながら生命の肉体や器官を想像させるところが特徴である。
≪私自身の≫ 2001
素材等:ファイバーグラス、エポキシ樹脂
サイズ:H160×W230×D180cm
photo:Dave Morgan
Courtesy Lisson Gallery