EXHIBITION展覧会
主催展覧会2013
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イザベル&アルフレド・アキリザン「住む:プロジェクト—もうひとつの国」
2013年8月3日(土) - 2013年11月10日(日)
イザベル&アルフレド・アキリザンによる《In-Habit(住む)》は、生産―消費の流れを示すダンボールを使って作る「家」を積み上げた、壮大なインスタレーション作品です。本作品は、ボルネオ島サバ州海岸部一帯を拠点にして暮らすバジャウ族の人々を参照しています。バジャウ族は船上または海の浅瀬に高床式住居を構え、一生を海の上で暮らす漂海民ですが、グローバル化の波を受けて、近年その暮らしぶりに変化が見られると言われています。アキリザンはバジャウ族を通してアジアの現状を俯瞰し、経済的かつ文化的グローバライゼーションによって支えられている価値観が、画一化の危険性を拡張しているという現実に対峙しています。彼等自身もフィリピンに生まれ、現在はオーストラリアに移住して制作を続けていますが、「どこに住むか」「どのように住むか」について考えるプロジェクト「もうひとつの国」によって、あたりまえのことと考えてきた「住む」自由を脅かすような急速な世界情勢の変化に対して、個々人が直面する問題を共に考える場を提案し続けているのです。 今回の金沢でのプロジェクトは、地域の人々がバジャウ族の人々の暮らしに思いをはせながらダンボールで家を作り、それらが作品の一部として展示されます。美術館の近隣にあるアートスペースや金沢市内の学校などでも家作りのワークショップを行う予定です。また、会期中の週末には展示室内にワークショップ・ブースを設け、美術館を訪れた人々が作品の中でダンボールの家を作ることもできます。それらも次々に作品に付け加えられ、金沢の「もうひとつの国」が拡大していきます。
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ボーダーライン コレクション展 II
2013年9月28日(土) - 2014年3月16日(日)
私たちは様々な場面で内部と外部を区別しています。内部は、言語、身体的特徴、記憶など共通のルールにもとづいて形成され、外部との間にはしばしば摩擦や軋轢が生じます。しかし、内部と外部はその境界において交渉しながら新しいルールを見つけ出し、境界は絶えず更新されています。つまり、境界は内部を広げる可能性を秘めた領域でもあるといえるのではないでしょうか。今年度のコレクション展は、このような視点に立って、境界を「分断するもの」から「繋がり、広げるもの」として捉え直す試みです。 「ボーダーライン コレクション展 I 」では、私たちにとって一番身近な身体を基本に据え、内と外の関係を考察しました。「ボーダーライン コレクション展 II 」ではそれを社会的な境界へと広げ、当館コレクションを展観します。 進化の過程で巨大な大脳を持つようになった人類は、意識という内部を獲得しました。私たちの社会には、自己と他者、国境、民族、ジェンダーなど様々な境界が存在しますが、そのほとんどは実際に線が引かれているわけではなく、人間が意識の中で引いた線であり、それが制度化されたものです。本展では、8作家の表現を通して、人間の意識が作り出した境界に時に立ち向かい、時に横断しながら、境界を介して外部と接することで自己という内部の領域を拡張していこうとする人間の可能性を探ります。 米田晴子(金沢21世紀美術館キュレーター)
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フィオナ・タン|エリプシス
2013年8月3日(土) - 2013年11月10日(日)
フィオナ・タンは1966年、インドネシア・ブカンバル(スマトラ島)生まれ、現在アムステルダム在住の映像作家です。中国系の父とオーストラリア人の母を持ち、少女時代をオーストラリアで過ごした後にヨーロッパに移り住んだという経歴から、多様な文化圏を往来しながら、その複雑さや多層性を自らの内に認める作家でもあります。インドネシアでの反中国人暴動によって離散した自身の家族を追うドキュメンタリー・フィルム《May You Live in Interesting Times(興味深い時代を生きますように)》(1997)は、彼女の文化的多元性を象徴するものとして注目を集めました。 フィオナ・タンの映像表現は、イメージを断片にして再び構成し直すことで、本質や事実にどうしても届かないもどかしさや曖昧さを創出しています。写真やヴィデオに映ったひとつのイメージは揺るぎないのに、事実とフィクションの間を往来する糸が織りなす物語が、見る者にさまざまな憶測を要求してくるのです。展覧会「フィオナ・タン|エリプシス」では、初期を代表する《Linnaeus’ Flower Clock(リンネの花時計)》(1998)(金沢21世紀美術館蔵)から近作《Rise and Fall(ライズ・アンド・フォール)》(2009)、《Seven(セブン)》(2011)まで、映像、写真、インスタレーション作品を紹介し、不連続な時間軸上を行き交う視線や声が共鳴する詩的で静謐な表現を展観するものです。
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フィロソフィカル・ファッション 2: ANREALAGE “A COLOR UN COLOR”
2013年7月12日(金) - 2013年11月24日(日)
目まぐるしく移り変わる流行、それを支えるファストファッションの隆盛が顕著ないま、衣服の意味を問い直し、一貫したコンセプトでファッションを提案するクリエイターを紹介するシリーズ「フィロソフィカル・ファッション」。第二弾では、身体や衣服への独自の考察から生まれるコンセプチュアルなデザインと、細部まで徹底的にこだわったものづくりで注目されるファッション・ブラン「ANREALAGE(アンリアレイジ)」を紹介します。 日常(A REAL)、非日常(UNREAL)、時代(AGE)をコンセプトとするANREALAGEのデザイナー、森永邦彦は、私たちが普段気に留めることのない「日常」を解析し、「非日常」を抽出、フォーカスする手法で衣服をつくり出します。 5000個ものボタンを縫い付けたスーツや数百枚の布地をパッチワークで仕立てたジャケットで見せた驚異的な手仕事と膨大な時間。球体や三角錐、立方体、さらにはプロポーションを極端に変えたボディに合わせて衣服をつくるという、極めてコンセプチュアルな「かたち」へのアプローチ。レーザーカットによる繊細なカットワークや太陽光によって色が変化する素材など最先端技術を取り入れる実験精神。時代を捉えつつファッションの本質を問う森永のものづくりは、常に驚きをもって迎えられてきました。しかし、その探求と実験は、森永の「作品」として完結するものではなく、あくまでもANREALAGEの「商品」としてリアルクローズに還元されることで、消費者を巻き込み、時代に社会に浸透していくのです。 今回、森永が掲げたテーマは “A COLOR UN COLOR”。ファッションのなかで移ろう「色」について、ファッション・デザイナーとしての問いのかたちを、透明なギャラリー空間につくり出します。 金沢21世紀美術館キュレーター 平林恵
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島袋道浩:能登
2013年4月27日(土) - 2014年3月2日(日)
島袋道浩は世界中を旅しながら、人間の生き方やコミュニケーションのあり方に関する作品を制作してきました。本企画は能登特有の風習や産物に興味をもった島袋が能登を旅し、アーティストならではの視点で発見したことを元に新作を作り上げる、1年間の長期プログラムです。金沢を中心とした若い人たちに芸術活動参画の機会を提供する「金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム」の第7弾として、4月より約28名のボランティア・メンバーが活動をしてきました。メンバーは作家と一緒に能登を訪れ、作家の作品制作に参加したり、メンバー通信『能登へ』を発行したりしています。展示を見てメンバー通信を読んだ人は、能登の魅力を感じるとともに、作家の能登への視点に触れることで、普段の身の回りの様々なものに対しても以前と少し違う視点を持つことができるでしょう。
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内臓感覚 — 遠クテ近イ生ノ声
2013年4月27日(土) - 2013年9月1日(日)
内臓は太古からの生命の記憶・リズムが封入された器官と解剖学者の三木成夫(1925-87)は説き、我々の行動や感覚、こころの働きに及ぶ鋭い考察によって各方面に大きな影響を与えました。本展はこの視点に学びつつ、人間の諸感覚の中でもより原始的・根源的な「内臓感覚」を手がかりに、その内なる感覚に響き、語りかけ、新たな知覚の目覚めにつながる現代の表現を巡っていく試みです。 本展で取り上げる国内外13組の作家−ルイーズ・ブルジョワ、長新太、ナタリー・ユールベリ&ハンス・ベリ、加藤泉、草間彌生、アナ・メンディエータ、中川幸夫、サスキア・オルドウォーバース、オル太、ピピロッティ・リスト、志賀理江子、ビル・ヴィオラ、渡辺菊眞−は、絵画や彫刻、写真、映像、絵本、建築、インスタレーション、パフォーマンスなどの作品において、原初的な身体性と絡む感覚や意識、情動、あるいは身体の内軸である内臓と密やかに共鳴する自然の生命記憶を意識的/無意識的に捉え、作品において浮かび上がらせてきました。 2011年の東日本大震災および原子力発電所事故以降、放射能への我々の漠然とした不安、不快感に代表されるように、自然環境や社会経済システムの綻びや不安が現実となる今、個々の体の内部は何を感じ、何を発しているのでしょうか。本展において、来場者と作品との出会いの瞬間に生じ、交錯するであろう、あらゆる感覚や反応を手がかりとして、今に生きる我々が、自分と自分以外の存在の「遠くて近い生の声」に耳を澄まし、感じ、考える場となることを願います。 金沢21世紀美術館キュレーター 吉岡恵美子
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