主催展覧会
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ス・ドホ|パーフェクト・ホーム
2012年11月23日(金) - 2013年3月17日(日)
ス・ドホは1962年韓国に生まれ、ソウル大学校卒業後、アメリカに移って絵画と彫刻を学びました。マイノリティとして暮らす他国の文化とのせめぎ合いや葛藤を独自の視点で見つめ直しながら、繊細で端正な表現に反映させ、世界的にも高い評価を得ています。特に「空間をスーツケースに納めて運ぶ」という発想から始まった「ファブリック・アーキテクチャー」のシリーズは、光を通す半透明な薄い布で作られ、自身が住んでいた家全体や、階段や廊下、門などといった、内と外、或は公と私を分け隔てる境界を象るものです。現在もロンドン、ニューヨーク、ソウルを拠点にして、作品発表やプロジェクトのために世界各地を移動し続けているス・ドホにとって、「家」について言及することは、自らのアイデンティティに関わる疑問の延長上にあります。 本展では金沢21世紀美術館の空間に合わせた最新作を含めて紹介し、ス・ドホの「家」を訪れる私たち自身が、「家」について省察する機会とします。
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ソンエリュミエール、そして叡智
2012年9月15日(土) - 2013年3月17日(日)
近代市民社会は経済発展及び科学技術により豊かさと自由を獲得してきたかにみえる。情報化社会において迅速さ快適さ手軽さが幸福であり、有益な価値であると見なされてきた。しかし同時に、その利益を追求するために人間生活はますます管理されることになった。つまり、自分が属する社会の制度と権力に支配されているということである。2011年3月の東日本大震災と福島での原子力発電所事故は、安全と幸福と自由という社会の基盤を根底から覆した。人間の自由を実現するための民主主義社会が選びとってきた経済システムや社会システムは、今や人間社会の継続を脅かすものとなってしまった。 「ソンエリュミエール、そして叡智」では、そんな絶望の中にありながら、世の中の矛盾に正面から向き合い、立ち続けようとする人間の可能性を探る。ここに紹介される作家の作品は、人間社会を鋭い眼差しで捉え、その膿みをあぶり出す。あるいは絶望自体も取り込み、半ば自虐的ともいえる手法で、それでも生き抜こうとする現代人の姿を映し出そうとする。彼らの表現は、不自由で身動きのとれない人間社会の構造を暴く。絶望を未来への種として、苦痛と混沌の渦中にもがくはかなくも生命ある存在として人間の有り様を見つめる。 金沢21世紀美術館キュレーター 北出智恵子
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matohu 日本の眼 日常にひそむ美を見つける
2012年7月21日(土) - 2012年11月25日(日)
なにげなく通り過ぎるいつもの風景に、新鮮な美が息づいている。日本人にとって、美は超越的な概念ではなく、自然や日常の中にひそんでいる様々な層を繊細に見つめることでした。すなわち「日本の眼」とは歴史のなかで日本人がゆっくりと培ってきた、「美に気づく視点」なのです。 服飾ブランドmatohu まとふ(まとうと読む)は、2005年のデビュー以来、「日本の美意識が通底する新しい服の創造」をコンセプトにした独自のスタンスで、東京コレクションにおいて異彩を放ってきました。そして2010年から「日本の眼」をテーマに、日本の美意識をひとつずつ取り上げ、毎シーズン服で表現する挑戦を続けています。金沢21世紀美術館デザインギャラリーでは、「かさね」「無地の美」「映り」「やつし」などをキーワードに、日本の美意識の再発見とその表現を、matohuの最も代表的なアイテム「長着(ながぎ)」―コレクションテーマにそって同じデザインで作り続けられている服―を通して展示します。 歴史の経糸を貫く感性が、現代の生活にどう生かされ、個々人の生活に気づきと豊かさをもたらすのか、そのヒントを見つけに来てください。
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Aloha Amigo! フェデリコ・エレロ×関口和之
2012年5月3日(木) - 2013年3月17日(日)
「Aloha Amigo! フェデリコ・エレロ×関口和之」は、金沢若者夢チャレンジ・アートプログラムの第6弾です。このプログラムは、18歳から39歳までの若者に芸術活動参画の機会を提供し、人間形成へ貢献することを目的としています。今年は、音楽家であるウクレリアン関口和之と美術家フェデリコ・エレロとの出会いによって、音楽と美術の世界が融合する長期プロジェクトを開催します。フェデリコ・エレロが作り出した色彩豊かな造形空間のなかで、「Aloha Amigo - ウクレレのある生活 - 」と題されたウクレレ・プロジェクトが行われます。エレロの伸びやかで繊細な絵画と音楽が共鳴する大空間のなかで、コミュニケーションの多様性や自己表現の可能性を問いかけます。
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コレクション展
ソンエリュミエール - 物質・移動・時間
2012年4月28日(土) - 2012年11月4日(日)
光には闇があり、音には無音がある。それぞれは対概念ではなく、ひとつの事がもつ性質である。フランス語で「ソン(son)」は音、「リュミエール(lumière)」は光を意味する。「ソンエリュミエール」は、1952年にフランスで最初に開催されたイヴェントに由来し、以後、照明と音響効果を用いて史跡や有名建築を語る豪華なスペクタクルショーのことを指すようになった。太陽が沈んだ闇夜に人工光が輝き、音楽が流れ、名所の謂れが語られる光景は煌びやかで幻想的である。同時にその効果は表面的で場の固有性は光と音の華やかさに取って代わられ画一化されてしまう。 過剰な情報が氾濫し、莫大なエネルギーが消費される現在、私たちは機械計測的に刻まれる時間に束縛されて日々の生活を送っている。支配的制度としての時間から解放された時、私たちの知覚は変容し、見慣れた現象が新たなかたちをとって姿を現す。光の流れ、音の移動、月の満ち欠け、鉱物に流れる時間—有機的な時空間の中では、流れる時の方向は多様で、個々の経験は計り知れない多義性を帯びた旅となる。 本展覧会では、現代の美術家をそんな旅人と捉え、特に物質、移動、時間をキーワードに世界を見つめ直す。粟津潔、秋山陽、ヤン・ファーブル、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス、木村太陽、岸本清子、草間彌生、ゴードン・マッタ=クラーク、カールステン・ニコライ、ゲルハルト・リヒター、サイトウ・マコト、田嶋悦子、マグナス・ヴァリン、アンディ・ウォーホル——彼らは物質の性質と力を習得することによって、自己、イメージ、行為といった非物質的な存在に、物理的なかたちを与える。あるいはまた、物質に依ることで立ち現れる造形表現は、エネルギーの運動態として私たちの眼前にあらわれ、未知なる体験をもたらすとも言える。 ここに切り拓かれた思惟の宇宙を遊泳する旅はつかのまではかなくとも、またとない瞬間として確実に鑑賞者ひとりひとりに記憶されることだろう。
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一般主催展覧会
条件に該当する催しがありません。