柿沼康二 書の道 “ぱーっ”

2013年11月23日(土) - 2014年3月2日(日)

柿沼康二は、1970年生まれ。現在東京を拠点に活躍する書家です。5歳から筆を持ち、父である柿沼翠流、手島右卿、上松一條に師事しました。「書はアートたるか、己はアーティストたるか」との命題を立て、既存の書に収まらない新たな書の地平に挑み続けてきました。

柿沼康二の作品の特徴は、書の古典に立脚した今日的な表現にあります。書の原理を問いつつ今日の美術として書を捉えていこうとしています。「吸って吐いて、自由な書!」とは、柿沼康二の目指す書の在り方です。表現スタイルには、いくつか代表的なものがあります。古人や能筆家との対話の場である臨書。臨書から形式発展させ、他者の言葉を柿沼流に作品化する「エンカウンター(出会うこと)」。書の原理である墨を使って絵画的に展開する超大型の作品群。あるいは、大型の作品での例が多い制作プロセスを観客と共有するパフォーマンス。ひとつの言葉にこだわり、それを執拗に繰り返す「トランスワーク」。書を時間的、空間的に発展させて、巨大なスケールで展開したインスタレーション。

このように、柿沼康二の書は、書、現代アート、サブカルチャーと関連して展開した今日的な表現です。それは、明日へと向かう希望の書であり、自由で、未来に向かって開かれた、可能性としての書です。本展では、代表作約700点で柿沼康二の書の世界を紹介します。

本展キュレーター・金沢21世紀美術館館長 秋元雄史

ボーダーライン コレクション展 II

2013年9月28日(土) - 2014年3月16日(日)

 私たちは様々な場面で内部と外部を区別しています。内部は、言語、身体的特徴、記憶など共通のルールにもとづいて形成され、外部との間にはしばしば摩擦や軋轢が生じます。しかし、内部と外部はその境界において交渉しながら新しいルールを見つけ出し、境界は絶えず更新されています。つまり、境界は内部を広げる可能性を秘めた領域でもあるといえるのではないでしょうか。今年度のコレクション展は、このような視点に立って、境界を「分断するもの」から「繋がり、広げるもの」として捉え直す試みです。
「ボーダーライン コレクション展 I 」では、私たちにとって一番身近な身体を基本に据え、内と外の関係を考察しました。「ボーダーライン コレクション展 II 」ではそれを社会的な境界へと広げ、当館コレクションを展観します。
 進化の過程で巨大な大脳を持つようになった人類は、意識という内部を獲得しました。私たちの社会には、自己と他者、国境、民族、ジェンダーなど様々な境界が存在しますが、そのほとんどは実際に線が引かれているわけではなく、人間が意識の中で引いた線であり、それが制度化されたものです。本展では、8作家の表現を通して、人間の意識が作り出した境界に時に立ち向かい、時に横断しながら、境界を介して外部と接することで自己という内部の領域を拡張していこうとする人間の可能性を探ります。

米田晴子(金沢21世紀美術館キュレーター)

フィオナ・タン|エリプシス

2013年8月3日(土) - 2013年11月10日(日)

フィオナ・タンは1966年、インドネシア・ブカンバル(スマトラ島)生まれ、現在アムステルダム在住の映像作家です。中国系の父とオーストラリア人の母を持ち、少女時代をオーストラリアで過ごした後にヨーロッパに移り住んだという経歴から、多様な文化圏を往来しながら、その複雑さや多層性を自らの内に認める作家でもあります。インドネシアでの反中国人暴動によって離散した自身の家族を追うドキュメンタリー・フィルム《May You Live in Interesting Times(興味深い時代を生きますように)》(1997)は、彼女の文化的多元性を象徴するものとして注目を集めました。

フィオナ・タンの映像表現は、イメージを断片にして再び構成し直すことで、本質や事実にどうしても届かないもどかしさや曖昧さを創出しています。写真やヴィデオに映ったひとつのイメージは揺るぎないのに、事実とフィクションの間を往来する糸が織りなす物語が、見る者にさまざまな憶測を要求してくるのです。展覧会「フィオナ・タン|エリプシス」では、初期を代表する《Linnaeus’ Flower Clock(リンネの花時計)》(1998)(金沢21世紀美術館蔵)から近作《Rise and Fall(ライズ・アンド・フォール)》(2009)、《Seven(セブン)》(2011)まで、映像、写真、インスタレーション作品を紹介し、不連続な時間軸上を行き交う視線や声が共鳴する詩的で静謐な表現を展観するものです。

イザベル&アルフレド・アキリザン「住む:プロジェクト—もうひとつの国」

2013年8月3日(土) - 2013年11月10日(日)

イザベル&アルフレド・アキリザンによる《In-Habit(住む)》は、生産―消費の流れを示すダンボールを使って作る「家」を積み上げた、壮大なインスタレーション作品です。本作品は、ボルネオ島サバ州海岸部一帯を拠点にして暮らすバジャウ族の人々を参照しています。バジャウ族は船上または海の浅瀬に高床式住居を構え、一生を海の上で暮らす漂海民ですが、グローバル化の波を受けて、近年その暮らしぶりに変化が見られると言われています。アキリザンはバジャウ族を通してアジアの現状を俯瞰し、経済的かつ文化的グローバライゼーションによって支えられている価値観が、画一化の危険性を拡張しているという現実に対峙しています。彼等自身もフィリピンに生まれ、現在はオーストラリアに移住して制作を続けていますが、「どこに住むか」「どのように住むか」について考えるプロジェクト「もうひとつの国」によって、あたりまえのことと考えてきた「住む」自由を脅かすような急速な世界情勢の変化に対して、個々人が直面する問題を共に考える場を提案し続けているのです。

今回の金沢でのプロジェクトは、地域の人々がバジャウ族の人々の暮らしに思いをはせながらダンボールで家を作り、それらが作品の一部として展示されます。美術館の近隣にあるアートスペースや金沢市内の学校などでも家作りのワークショップを行う予定です。また、会期中の週末には展示室内にワークショップ・ブースを設け、美術館を訪れた人々が作品の中でダンボールの家を作ることもできます。それらも次々に作品に付け加えられ、金沢の「もうひとつの国」が拡大していきます。

フィロソフィカル・ファッション 2: ANREALAGE “A COLOR UN COLOR”

2013年7月12日(金) - 2013年11月24日(日)

目まぐるしく移り変わる流行、それを支えるファストファッションの隆盛が顕著ないま、衣服の意味を問い直し、一貫したコンセプトでファッションを提案するクリエイターを紹介するシリーズ「フィロソフィカル・ファッション」。第二弾では、身体や衣服への独自の考察から生まれるコンセプチュアルなデザインと、細部まで徹底的にこだわったものづくりで注目されるファッション・ブラン「ANREALAGE(アンリアレイジ)」を紹介します。

日常(A REAL)、非日常(UNREAL)、時代(AGE)をコンセプトとするANREALAGEのデザイナー、森永邦彦は、私たちが普段気に留めることのない「日常」を解析し、「非日常」を抽出、フォーカスする手法で衣服をつくり出します。

5000個ものボタンを縫い付けたスーツや数百枚の布地をパッチワークで仕立てたジャケットで見せた驚異的な手仕事と膨大な時間。球体や三角錐、立方体、さらにはプロポーションを極端に変えたボディに合わせて衣服をつくるという、極めてコンセプチュアルな「かたち」へのアプローチ。レーザーカットによる繊細なカットワークや太陽光によって色が変化する素材など最先端技術を取り入れる実験精神。時代を捉えつつファッションの本質を問う森永のものづくりは、常に驚きをもって迎えられてきました。しかし、その探求と実験は、森永の「作品」として完結するものではなく、あくまでもANREALAGEの「商品」としてリアルクローズに還元されることで、消費者を巻き込み、時代に社会に浸透していくのです。

今回、森永が掲げたテーマは “A COLOR UN COLOR”。ファッションのなかで移ろう「色」について、ファッション・デザイナーとしての問いのかたちを、透明なギャラリー空間につくり出します。

金沢21世紀美術館キュレーター 平林恵

島袋道浩:能登

2013年4月27日(土) - 2014年3月2日(日)

島袋道浩は世界中を旅しながら、人間の生き方やコミュニケーションのあり方に関する作品を制作してきました。本企画は能登特有の風習や産物に興味をもった島袋が能登を旅し、アーティストならではの視点で発見したことを元に新作を作り上げる、1年間の長期プログラムです。金沢を中心とした若い人たちに芸術活動参画の機会を提供する「金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム」の第7弾として、4月より約28名のボランティア・メンバーが活動をしてきました。メンバーは作家と一緒に能登を訪れ、作家の作品制作に参加したり、メンバー通信『能登へ』を発行したりしています。展示を見てメンバー通信を読んだ人は、能登の魅力を感じるとともに、作家の能登への視点に触れることで、普段の身の回りの様々なものに対しても以前と少し違う視点を持つことができるでしょう。

EVENTイベント

日韓英国際共同制作

ONE DAY, MAYBE いつか、きっと

2013年11月28日(木) - 2013年12月8日(日)

EDUCATIONAL PROGRAM教育普及プログラム

「ボーダーライン コレクション展II」とともに

絵本を読もう

2013年11月30日(土)

絵本の読み聞かせのあと、キュレーターと一緒に作品を見に行きましょう。

・『わたし』ぶん 谷川俊太郎 え 長新太 福音館書店


読み手:大西洋子

「柿沼康二 書の道 “ぱーっ”」関連プログラム

柿沼康二 アーティスト・トーク

2013年11月23日(土)

出展アーティスト 柿沼康二氏と本展キュレーター・金沢21世紀美術館館長 秋元雄史が、柿沼康二作品と展覧会について語ります。


出演:
柿沼康二(出展アーティスト)
中田英寿(ゲスト)
秋元雄史(本展キュレーター・金沢21世紀美術館館長)

「フィロソフィカル・ファッション」関連プログラム

平川武治 講演会

2013年11月16日(土)

30年近くにわたり、パリと東京を往復しながら、独自の視点でモード批評を続けてきた平川武治氏が、モードの「いま」と「これから」を語ります。

キッズスタジオ・プログラム

「ハンズオン・まるびぃ!」プレイルーム

毎週土日祝

子どもも大人もいっしょに楽しめるスペースです。
いろいろな造形遊びで、工夫と発見を楽しもう!
(下は遊びかたの例です。内容は日によって変わります。)


★遊びの素材募集中
ご不用の包装紙、紙袋、和紙など工作の素材をキッズスタジオで集めています。
包装紙、紙袋、紙の梱包材(詰め物や卵パック等)、ほか変わった紙製品など
ボタン、ビンのふた、ビーズ、ほか家の中で集まったキッチンや文具の小物など
※汚れていないものでお願いします。

COMMUNITY EXHIBITION一般主催展覧会

条件に該当する催しがありません。

COMMUNITY EVENT一般主催イベント

条件に該当する催しがありません。