展覧会について
 金沢市とゲント市の姉妹都市提携35周年を記念して、ゲント現代美術館のコレクションの中から、人が生きることと芸術を密接に考え、それを通じて人間が自由になれることを目指した11作家約70点の作品を紹介します。
 20世紀初頭から今日に至るまで、「芸術と生活(Art=Life)」というテーマは、芸術において重要であり続けました。ゲント現代美術館は、1975年の設立以来このテーマに最も真摯に向き合いながら活動してきた美術館といえます。ゲント現代美術館が自ら「ビッグ・トライアングル」と呼ぶボイス、ブロータース、パナマレンコという三作家は、あらゆる人間のもつ創造力を認め、狭い「芸術」の制度を批判し、「芸術」の概念を「生きること」にまで拡張しようとしました。冷戦構造が崩れ、グローバル化の進行する今日、「新自由主義」的な考え方の広がりとともに、これまでとは違ったかたちで管理の強化が進んでいます。そのような状況において、「芸術=生活」を通じて理想の実現を追求したボイスたちの考え方に立ち戻って「自由」について考えることは、ますます重要となっています。そして、そのような態度は、バリオ、ヴァインベルガーといった、現在のゲント現代美術館の活動を特徴づける作家の活動と作品に受け継がれています。
 また、ゲント現代美術館は「美術館」という制度を社会と結びつけながら独自の活動を続けています。その姿勢は例えば、ゲント市の町中で一般の市民の家に作品を展示するという展覧会「友達の家」展などにも象徴的に示されています。
 金沢21世紀美術館は、市民参画型の美術館、まちに開かれた美術館を目指しています。我々は、ゲント現代美術館の、人の生活と芸術を結びつけようとする姿勢、美術館とまちをつなげようとする態度に共感し、本展を通じて、その活動を紹介します。
パナマレンコ[こがね虫]
1994年
Photo:Dirk Pauwels
Courtesy S.M.A.K., Museum of Contemporary Art, Ghent

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