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金沢21世紀美術館

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EXHIBITION展覧会

コレクション展2 死なない命

2017年7月22日(土) -
2018年1月8日(月)

インフォメーション

期間:
2017年7月22日(土) 〜2018年1月8日(月)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
会場:
金沢21世紀美術館
展示室1〜6(展示室5、光庭は11/11から)
料金:
一般=360円(280円)
大学生=280円(220円)
小中高生=無料
65歳以上の方=280円
※( )内は団体料金(20名以上)
お問い合わせ:
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800
休場日:
月曜日(ただし8月14日、9月18日、10月9日、10月30日、1月8日は開場)、9月19日(火)、10月10日(火)、12月29日(金)〜1月1日(月)

概要

人工知能や遺伝子工学の発達によって「生命の編集」「機械との共存」「不死」といった主題が注目されるよう になり、これまでの生命観や倫理観がいま問われています。今回の展覧会では、当館のコレクションから9 作家を選び、「命が死によって消え去る」という従来の生命観に対して「死なない命」のあり方について考え させる作品を紹介します。さらに4作家の生物を媒体とした1930年代から今日までのテーマに沿う表現を 加えることで「新たな生命を造形する意味」や「人工的な自然を生きることの可能性」など、当館所蔵作品の 意味を新たな角度から読み直し、生命の「いま」について考えます。

プロフィール

やくしまるえつこ 《わたしは人類》 2016
インスタレーション(遺伝子組み換え微生物、 寒天培地、シェーカー、冷蔵ショーケース、 映像、パラメトリックスピーカー他)
サイズ可変

やくしまるえつこ YAKUSHIMARU Etsuko

音楽家、プロデューサー、作詞・作曲・編曲家として「相対性理論」など数々のプロジェクトを手がけるほか、メディアアート、絵画やインスタレーション、文筆と多岐に渡り活躍。人工衛星や生体データを用いた作品、人工知能と自身の声による歌生成ロボット、独自のVRシステム、オリジナル楽器などを次々に発表。近年の活動に、森美術館「LOVE展」(2013)、豊田市美術館「反重力展」(2013)、山口情報芸術センター「天声ジングル-∞面体」(2016)、相対性理論×Jeff Mills「スペクトル」(2015)、相対性理論「天声ジングル」(2016)など。2017年、バイオテクノロジーを駆使した音楽作品「わたしは人類」で世界最大のメディアアートの祭典『アルスエレクトロニカ』STARTS PRIZEのグランプリを日本人で初めて受賞。

「エドワード・スタイケンのデルフィニウム」展 展示風景
ニューヨーク近代美術館 1936年6月24日ー7月1日
Photographer: Edward Steichen.
Copyright: The Museum of Modern Art, New York. Acc. n.: IN50.2
© 2017. Digital image,The Museum of Modern Art, New York/Scala, Florence

エドワード・スタイケン Edward STEICHEN

1879年生 - 1973年没。ルクセンブルク生まれ。アメリカを代表する写真家の一人。元ニューヨーク近代美術館名誉理事。1880年両親と 共に渡 米 、後帰化。独学で写真を習得、近代写真の父と呼ばれるア ルフレッド・スティーグリッツに認められ、フォト・セセッションの 設立メンバーとして活躍 。1902年 、ロダンの彫刻の撮影で脚光を浴 びる。その後 、ファッション誌「 VOGUE」写真部長 、第二次大戦中は空軍の航空写真の技術指導を経て、1947年から ニューヨーク近代美術館写真部長を務める。1954年、写真展
「ザ・ファミリー・オブ・マン」を企画し、1962年までに38カ国を巡回し 、900万人という記録的な観客動員を達成した。この展示は祖国のルクセンブルクへ寄贈され、クレルヴォー城にてユネスコ の「世界記録遺産」として永久展示されている。
※金沢21世紀美術館コレクション以外からの出品

BCL 《COMMON FLOWERS/FLOWERS COMMON》 2009
遺伝子組み換えカーネーション、寒天培地、瓶ほか
サイズ可変

BCL

芸術を通して、科学やデザインなどの領域を超えた研究、実践を行うアーティスト集団。2004年にゲオアグ・トレメルと福原志保によってロンドンにて立ち上げられた。2007年に活動拠点を東京に移し、国内外の美術館での展示やコラボレーションを行う。2014 年に吉岡裕記とフィリップ・ボーイングが参加。近年は特に、バイオ テクノロジ ーの発展が与える社会へのインパクトや、水環境問題について焦点を当てている。また、それらに批評的に介し、閉ざさ れたテクノロジーを人々に開いていくことをミッションとしている。 代表作に、架空のキャラクター「初音ミク」のDNAと心筋細胞をつ くる《Ghost in the Cell》(金沢21世紀美術館、2015-16)、《COMMON FLOWERS》(2009-)、家族の遺伝子を樹のDNAに入 れて「生きた墓標」をつくるプロジェクト《Biopresence》(2004) など。
※金沢21世紀美術館コレクション以外からの出品

デミアン・ハースト Damien HIRST

1965年ブリストル(英国)生まれ、ロンドン、デヴォン(英国)在住。 ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ在学中の1988年、同世代 の仲間を率いて「フリーズ」展を自主組織。1980 年代後半、それ まで停滞していた英国現代美術に旋風を巻き起こし、世界的にその存在を認知させたYBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)現象の中心的存在である。牛や鮫等、動物の死骸を輪切りにし、ガラスの水槽にホルマリンづけにした作品や、錠剤を用いる等医学 せいひつ的要素を取り込む作品を制作。荒々しくも静謐で、残虐さと美が共存し、矛盾や重層性をはらんだ作風は、人間の存在の根源的な 問題を扱っている。

ヴィック・ムニーズ Vik MUNIZ

1961年サン・パウロ(ブラジル)生まれ、ニューヨーク(米国)在住。 自らが作ったオブジェ作品を記録するために撮 影したことがきっかけとなり、シリーズで写真作品を発表するようになる。それらは 報道写真や美術史上の名作をグラニュー糖やトマトソース、チョコ レートなどの素材で再現し、撮影したものである。本作品は写し出 されたイメージの認識、作品へ歩み寄る過程でそのイメージが予 期せぬ物体から構成された集合体であることを知覚するといった複数の視点を同時に経験させる。

日比野克彦 《明後日の種》 2007
絵画99点組のうち27点。 ダンボールにアクリル、顔彩、墨、紙粉、
泥、土、木炭、石炭、石、鉛筆
各153 × 153cm

日比野克彦 HIBINOKatsuhiko

1958年、岐阜生まれ、東京都(日本)在住。 日比野は、1980年代、段ボールを素材とする作品で注目を集め、 以来、デザイン、舞台美術、パフォーマンスなど、ジャンルを横断し た活動で時代を切り開いてきた。1990年代よりワークショップを 数多く行い、この経験は、自身の表現活動に大きな影響を与える こととなった。「他者」との出会いを通して「自己」に向き合う経験 は、「ホーム→アンド←アウェー」方式と名付けられ、現在の活動の 核となっている。

八谷和彦《M-02》2004-2006
スプルース、アラスカ樺、GFRP、CFRP、ジュラルミン他
131 × 963 × 313cm

八谷和彦 HACHIYA Kazuhiko

1966年佐賀県(日本)生まれ、東京都(日本)在住。 カメラとトランスミッターを使って自分が見聞きしているものを誰かと互いに交換すると いう《 視聴覚交換マシン》(1993年)や 、 ジェットエンジン付きのスケートボード《エアボード》(1999年)などを代表作とするメディア・ アーティスト。ピンクのクマがメールを運ぶ《ポストペット》の開発 者でもあり、デザインとアートと技術の融合を果たしてきている。今はかなわぬことを希求する姿勢は、夢や希望といったポジティブで未来を感じさせるものである。

ヤノベケンジ《ミッキーマスク》1991
双眼鏡、防毒マスク、ヘッドホン、トランス、乾電池、雑嚢
30 × 29 × 25cm

ヤノベケンジ YANOBE Kenji

1965年大阪府茨木市(日本)生まれ、京都府亀岡市(日本)在住。 鉄など様々な素材を使って立体作品を制作するアーティスト。原体験として日本万国博覧会(1970年)を持つ。それは、心躍らされ る「未来」であ ったが、会期終了後はその未来の「廃墟」となった。人が抱く「夢」と、その「実現」との間にある断絶。両者の間で葛藤 しながらいかにサバイバルするかということを制作のテーマとし ている。近年はリバイバルをテーマに掲げ、「廃墟」からの再生を 追求する。

粟津潔《H2OEARTHMAN》1993
ブロンズ
24 × 20 × 10cm
撮影:木奥恵三

粟津潔 AWAZU Kiyoshi

1929年東京都(日本)生まれ、2009年神奈川県川崎市にて死去。 独学で絵・デザインを学ぶ。戦後日本のグラフィック・デザインを牽 引。1960年、世界デザイン会議、建築運動「メタボリズム」に参加。 1977年、サンパウロ・ビエンナーレに《グラフィズム3部作》を出品。1980年以降は、象形文字やアメリカ先住民の文字の調査を実施。イメージ、伝えること、ひいては生きとし生けるもの総体の中で 人間の存在を問い続けた。その表現活動の先見性とトータリティ は、現在も大きな影響を与えている。

川井昭夫《アガベ・プロジェクト》2010
竜舌蘭
サイズ可変

川井昭夫 KAWAI Akio

1948年石川県羽咋市(日本)生まれ。富山県富山市在住。 1970年代から、観葉植物に興味を持ち、植物をテーマとした制作 を始める。1979年、ジャパンアートフェスティバル優秀賞受賞。以 降、支持体の地色に限りなく近づけた色の絵の具を用い、表面に 筆 触 だけをの こす絵画シリーズを手掛けるようになる。2 0 0 0 年代は、北陸のある集落の民家を展示会場として作品を発表する「野積」というプロジェクトをセシル・アンドリュや伊藤公象らと展 開。またこの頃より竜舌蘭に興味を持ち、収集を開始し、世界一のコレクターとなる。2010年より竜舌蘭を用いた《アガベ・プロジェ クト》を石川県羽咋市にて開始。
※金沢21世紀美術館コレクション以外からの出品
※11月11日(土)からの展示

イ・ブル《セイレーン》2000
ポリウレタン性パネル、アルミニウム制骨組、ポリウレタンコーティング
314 × 215 × 240cm

イ・ブル LEE Bul

1964年ヨンウォル(韓国)生まれ、ソウル在住。 1980年代後半から発表を始めた韓国出身の女性作家。女性とし ての身体的アイデンティティにかかわるパフォーマンスから始ま り 、装飾性に満ちた立体作品 を手掛ける。磁器から、バルーン、シリコン、生魚など多様な素材を 横断的に用い、日本のアニメなどから影響を受けたモチーフをもとに作品を作る、韓国の伝統的な磁 器や 、西洋の古代彫刻を意識したト ルソの形体を用いるなど、文化や時代も横断しようとしている。

椿昇《エステティック・ポリューション》1990
発砲ウレタン、粘土、柳、塗料、他
290 × 360 × 270cm

椿昇 TSUBAKI Noboru

1953年京都市生まれ、兵庫県西宮市在住。 長年高校での教師を続けながらアーティストとして活動。大阪、神 戸、名古屋の画廊で個展を重ねる。1989年にアメリカを巡回した「 アゲインスト・ネーチャー展」にオーガニックで黄色い悪魔的な 作品を出品して話題をさらった。以後、海外展での経歴を重ね、 2001年の横浜トリエンナーレではインターコンチネンタルホテルの壁面にバッタをかたどったバルーン作品を設置して話題を呼 んだ。

Chim↑Pom《SUPER RAT(Showcase)》 2011-2012
ミクストメディア
サイズ可変
(映像3点各:2分22秒、2分28秒、3分) courtesy: MUJIN-TO Production

Chim↑Pom

2005年にエリイ、卯城竜太、林靖高、水野俊紀、岡田将孝、稲岡求 で結成。2006年に渋谷のセンター街でクマネズミを捕獲する行 為を記録、捕獲したネズミで剥製のオブジェを作った《SUPER RAT》を 発表 。C h i m ↑ P o m は 、個人的な興味から世界が直面する問題や闇の部分を、自らの身体を介入した極めて直接的な行為(ア クション)により露呈させ、写真や映像に記録するという表現活動 で、活動開始直後より注目を浴びてきた。 2008年、広島の原爆ドームの上空に、飛行機雲で「ピカッ」という 文字を描く行為は、社会的騒動となった。2011年の福島原子力発電所事故の直後に、渋谷駅に恒久設置されている岡本太郎の《明日の神話》に福島第一原発の爆発事故を描いた絵を加えた《LEVEL 7 feat.『明日の神話』》、被災地の地元若者とともにエー ルを送り合う映像《気合い100連発》の制作など、原発爆発事故後 を生き抜く人間の姿を行為や映像で表現した。

主催/ほか

主催:
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
協力:
金沢工業大学、首都大学東京