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金沢21世紀美術館

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EXHIBITION展覧会

ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス

2020年9月19日(土) -
2021年2月28日(日)

「ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス」(金沢21世紀美術館、2020-21年)での展示風景 
撮影:木奥惠三

インフォメーション

期間:
2020年9月19日(土) 〜2021年2月28日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は10:00〜20:00)
会場:
金沢21世紀美術館
展示室7〜12・14
休場日:
毎週月曜日(ただし9月21日、11月23日、2021年1月11日は開場) 9月23日(水)、11月24日(火)、12月29日(火)〜2021年1月1日(金)、1月12日(火)
料金:
観覧券[日付指定入場制]
一般:1,000円(1,200円)
大学生:600円(800円)
小中高生:300円(400円)
65歳以上の方:1,000円(1,000円)
※( )内は当日券料金
※団体鑑賞予約対象外
※本観覧券で入場当日に限り、同時開催中のコレクション展(10月17日〜2021年2月28日)にもご入場いただけます。

友の会会員について:
・日付指定不要でいつでもご入場いただけます。
(ただし、当日の混雑状況により入場制限の可能性があります。)
・友の会会員の同伴者は、事前に日付指定の予約券をご購入いただくか、当日券をお買い求めください。

日付指定入場制チケット 購入について:
・ご希望の入場日を選んで予約券をご購入ください。
・ご観覧の際は、展覧会会場入り口にて、予約券の購入済みページのQRコード画面またはプリントアウトしたものをご提示の上、ご入場ください。
※日付指定の展覧会鑑賞チケットの前売販売は2020年9月1日(火)10:00から展覧会観覧日の前日23:59まで

予約券購入はこちら

予約券 注意事項:
・全ての予約券は、指定の入場日付以外でのご利用はできません。
券面に記載の入場日付にご来場ください。
・全ての予約券は、指定の入場日付ごとの数量限定販売となります(先着順・予定数量に達し次第販売終了)。
・当日券もご用意がございますが、予約券のご購入をお勧めします。
・ご購入済みの予約券の払戻しはいたしかねます。
・その他詳細は当館ウェブサイトをご覧ください。

市民無料の日
市民美術の日:11月3日
金沢市民の方は本展を無料でご覧いただけます(要証明書の提示)
お問い合わせ:
金沢21世紀美術館
TEL 076-220-2800 FAX 076-220-2802

概要

ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースは、共にヨーロッパが誇る芸術の歴史を素地に、他に類を見ないユニークな表現で世界に知られる美術家です。この度、はじめて、二人だけの作品で空間構成をする二人展「ダブル・サイレンス」を開催します。

20世紀の終わりから加速したグローバル化の波は欧米を出発して様々な地域に押し寄せ、波頭が割れるように各所に影響を与えました。同時に各地域からは様々な事や物や人を吸い上げて大きなうねりとなり現在に至り、今や文字通り世界全体を覆い尽くしています。いわゆる「現代美術」もまた、この流れと軌を共にしています。ベルリンの壁が崩れた後、美術もまた周縁化することで、いかに地域の歴史文化の独自性を持つかが問われてきました。そして30年ほどが経過した今、美術ではグローバル化と周縁化の間で、地域性に起因する文化差異が重要というよりは、そもそも普遍的な価値とは何かについての内省が始まっています。なぜこのような状況が加速しているかは、いくつか考えられますが、情報の高速化によって世界同時性を実現した現代社会では、価値の普遍性の探求は、特定の地域に限らないことに気づき始めたからではないでしょうか。そしてCOVID-19によって、芸術における内省はグローバル化しています。長きにわたり人間の普遍的価値を探求してきたヨーロッパの美術史を踏まえ、ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースもまた、同時代を生きる彼らの内省を私たちと共有しています。バロック美術の伝統を受け継ぎ、人間の暗部を描き出すボレマンスの絵画作品。「建物としてのセルフ・ポートレイト」をコンセプトに、身体の断片が印象的なマンダースの彫刻作品。それぞれメディアは違えど、いずれも複雑な心理状態や関係性を深く掘り下げています。

「ダブル・サイレンス」は沈黙や静寂の中で、作品を通して彼ら自身が対話する空間と時間に、ボレマンスとマンダースが人々を誘う展覧会です。英語の「ダブル」という単語には、掛け合わせや足し上げによる二重や二倍といった意味もありますが、「二つ一緒」「明らかに異なる局面」「対を成す」など、実に多彩な意味が含まれます。いずれも一筋縄ではいかないボレマンスとマンダースによる二人展には、実にふさわしい展覧会名です。
この機会に、80点余りの作品がSANAAによる建築と呼応する空間に足をお運びください。

関連プログラム

ギャラリーツアー
「市民美術の日 オープン まるびぃ2020」の日に、担当キュレーターが本展の見どころをお話します。(金沢市民限定)
日時:11月3日(火・祝) 1回目 11:00/2回目 13:00/3回目 15:00/4回目 17:00
※ツアーの所要時間は約30分です。
定員:各回6名(先着順)※金沢市民限定
集合場所:金沢21世紀美術館総合受付前

作家プロフィール

Photo: Alex Salinas

ミヒャエル・ボレマンス Michaël Borremans

1963年ゲラールスベルゲン(ベルギー)生まれ、ゲント(ベルギー)在住。ベラスケスやマネなど伝統的な西洋絵画の技法とテーマに強い関心を寄せ、絵画を想像的な世界の窓を開く、普遍的な言語として捉えている。日常に潜む不穏さや危うさを、曖昧で矛盾に満ちた画題で表現する独特の雰囲気を持ち、具体的な意味や物語を拒むコンセプチュアル・アートの影響も強く見て取れる。近年は絵画から派生した映像作品も制作している。主な個展に、ルドルフィヌム・ギャラリー(2020年、プラハ、チェコ)、原美術館(2014年、東京)、ゲント現代美術館(2005年、ベルギー)がある。シドニー・ビエンナーレ(2018年、オーストラリア)、横浜トリエンナーレ(2011年)、ベルリン・ビエンナーレ(2006年、ドイツ)、マニフェスタ5(2004年、サンセバスチャン、スペイン)などに招待された。2010年にはロイヤル・パレスにベルギー王室のための委嘱作品をシリーズで制作した。

Photo: Cedric Verhelst

マーク・マンダース Mark Manders

1968年フォルケル(オランダ)生まれ、ロンセ(ベルギー)在住。 1986年に「建物としてのセルフ・ポートレイト」というコンセプトを得て以来、マーク・マンダースの作品は全て一つの大きな自画像の一部を構成する。ドローイングや彫刻はそれ自体で完成しているとも言えるが、部分的に互換性があり、どのような組み合わせで「想像上の部屋」に収められるかによって有機的に変化し続ける。インスタレーションはある瞬間に凍結したような不朽性や普遍性を含み、見るものに静寂と不在を感じさせる。サンパウロ・ビエンナーレ(1988年、ブラジル)、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2013年、イタリア)にオランダ代表作家として選出された。直近ではボンネファンテン美術館にて大規模な個展が開催され (2020年、マーストリヒト、オランダ)、パブリック・アート・ファンド・プログラム(2019年、セントラル・パーク、ニューヨーク、アメリカ)、ローキンスクエア(2017年、アムステルダム、オランダ)で屋外彫刻も発表している。

主な展示作品 ミヒャエル・ボレマンス

ミヒャエル・ボレマンス《機会の家(生涯のチャンス)》2003
ゲント現代美術館蔵
Photo: Peter Cox
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp

《機会の家(生涯のチャンス)》

オランダ風の屋根に数えきれないほどの窓がついた家は、2002年から2007年にかけて、ドローイングや油彩でボレマンスが好んで描いたモチーフの一つである。画中に描かれた人物やそのサイズ、人物と家との関係は極めて不可解である。しかし、見ている間にあなたが現実的な何かを想像したとしたら、それはあなたにとって想像と現実の混濁であり、ボレマンスによる魅惑的な自由連想法にはまっていると言わざるを得ない。一種演劇的な絵画空間ではあるが、影や光には特定の意味や主観性の反映かどうか、定かでない。

ミヒャエル・ボレマンス《オートマト(I)》2008
Photo: Peter Cox
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp

《オートマト(I)》

背中で手を組んだ三つ編みの少女が描かれているが、注意深くみるとスカートの下にあるはずの下肢がなく、まるで切断されて上半身だけが台の上に置かれたように見える。しかもスカートの裾のわずかな影によって宙に浮いているかのような不自然さだ。もともとはスカートだけが自動回転する彫刻を構想。後に《Skirt Sculpture》(2014年)も発表している。その間にドローイングや油彩の《The Skirt》や35mmフィルム《Weight》などにも発展して、様々なバリエーションが発表され、一連のシリーズとなった。メディアの横断によって、例えば絵画作品においても彫刻的な要素―モニュメント性や物資的な量感が強調される―ボレマンスの作品の特徴をよく表している。

ミヒャエル・ボレマンス《天使》2013
Photo: Peter Cox
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp

《天使》

タイトルが示す「天使」の一般的なイメージからは遠く、黒い顔面や人間のサイズを超えたスケールには違和感を感じる。ドレスの袖から出た筋肉質の腕や大きな手、肩幅が広く短い髪など、人間であれば男性を感じさせるが全体としては判然としない。ボレマンスのモナリザとも評されるこの作品は、ベルギーのトップモデル、ハネロア・ナッツ(Hannelore Knuts) がモデルと言われている。目を伏せうつむき、力無く直立したポーズは静穏で無活動、湧き出る人間的な感情や感覚が失われて、孤立感もある。ボレマンスが描く人物像によく見られる特徴が顕著な代表作である。

主な展示作品 マーク・マンダース

マーク・マンダース《狐 /鼠 / ベルト(建物としてのセルフ・ポートレイトからの断片)》1992–1993
Photo: Dirk Pauwels
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp

《狐 /鼠 / ベルト(建物としてのセルフ・ポートレイトからの断片)》

本展「ダブル・サイレンス」の中で、最も初期に発表された作品。マンダースが1986年に作家活動を開始した時からのコンセプト「建物としてのセルフ・ポートレイト(自画像)」を副題に含んだ重要な一点である。ここでの自画像とは、具体的に存在する一般的な自画像というよりは、マンダースの省察、感情、記憶、アイディアの包括的な自画像を指す。
狐と鼠がベルトで結ばれて横たわっている本作品は、マンダースが思いついた3つの別々の言葉に由来している。ひとつめの「狐」は、跳躍の途中で凍った狐の姿を捉えた像になり、次に「鼠」。鼠は大抵の場合は狐の腹に飲み込まれてしまえば見えなくなってしまう存在にもかかわらず、自分のベルトで鼠を狐に括りつけてみたところ、そのシンプルな行為によって「ユニット」という第3の言葉が静止した作品の中に深く沈んでいたことに気づいたという。これについて、かつてマンダースは、「後先がなければ、定型化されたことも信じられない作品を生み出すもの」と述べている。

マーク・マンダース《4つの黄色い縦のコンポジション》2017–2019
Photo: EPW STUDIO
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp & Tanya Bonakdar Gallery, New York

《4つの黄色い縦のコンポジション》

最新作は、人物の顔に4つの黄色い木片が垂直に差し込まれた印象的な彫刻作品である。ひび割れた粘土のように見えるが、実際は鋳造された青銅に着色を施している。胸像はそれぞれ異なる角度で配置され、わずかな大きさの違いによって遠近を作り出している。周囲を歩き回る間、物事には複数の視点があり、変化は見る側の創造によって起きることに気づかされる。顔面に差し込まれた一部木片の介入は、本体の物質的な量塊に比べて僅かなボリュームでありながら、全体の基礎の確かさを脅かすほどの力強さがある。

マーク・マンダース《2色のコンポジション》2005–2020
Photo: Peter Cox
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp

《2色のコンポジション》

言語はマンダースの作品制作において重要な役割を果たしている。作品のほとんどには言葉と思考の関係が見て取れる。新聞は彼の言語に関わる芸術上の実践に繰り返し現れるモチーフである。彼が作成したルールは、新聞には英語の辞書のすべての単語を順不同で、一度限り使うというものだ。従って、各単語は言語上の文法秩序を度外視して配置されているが、オーバーペイントやコラージュによって隠されたり編集されている部分も含めて、作品に関係する注目すべき単語が含まれているかもしれない。小さい紙面ながら、単語の組み合わせを考え続ける限り、現実とは異なる架空の世界で果てしなく遊ぶことができる。
2つの色について、マンダースは長い間、素材の固有の色をそのまま使ってきたが、彼は徐々に色を組み合わせ、統合する方法を見つけているようだ。特に近作は黄色が多用されている。本作は、厳密には黄色ではなくオレンジでもない、その中間であり、一般的な名前のない色であろう。

関連書籍

展示風景を収録したカタログを販売します。
インタビューとテキスト:Martin German(インディペンデント・キュレーター)、黒澤浩美(金沢21世紀美術館 チーフ・キュレーター)
発行元:金沢21世紀美術館
発売日:11月中(予定)
本体価格:3,500円(予価)

Images

    「ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス」(金沢21世紀美術館、2020-21年)での展示風景 
    撮影:木奥惠三

    「ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス」(金沢21世紀美術館、2020-21年)での展示風景 
    撮影:木奥惠三

    「ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス」(金沢21世紀美術館、2020-21年)での展示風景 
    撮影:木奥惠三

    [参考画像]
    (左)ミヒャエル・ボレマンス《枝》2003
    (右)マーク・マンダース《縦のコンポジション》2011-2016
    Photo: Peter Cox
    Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp, Gallery Koyanagi, Tokyo,
    David Zwirner & Tanya Bonakdar Gallery, New York/Los Angeles

    [参考画像]
    (左)マーク・マンダース《椅子の上の乾いた像》2011-2015
    (右)ミヒャエル・ボレマンス《オートマト(I)》2008
    Photo: Peter Cox
    Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp, Gallery Koyanagi, Tokyo, Tanya Bonakdar Gallery, New York/Los Angeles & David Zwirner

    ミヒャエル・ボレマンス《赤い手、 緑の手》2010
    個人蔵
    Photo: Peter Cox
    Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp

    マーク・マンダース《乾いた土の頭部》2015-2016
    Photo: Peter Cox
    Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp

Movies

  • ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス アーティスト・インタビュー

主催/ほか

主催:
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
助成:
フランダース政府、モンドリアン財団
協賛:
小西酒造株式会社